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2007年9月21日 (金)

日本 対 ウェールズ 18-72(11-29) プール B

 ジャパンが勝てるとまではさすがに思ってはいなかったが、ここまで差を見せ付けられると、無理矢理よかった点を挙げてそこに光明を見出すのも困難に感じられてくる。まずスクラムやモールといった力比べでかなり差があった。それを予想していた、というかそうなっても何とかボールを保持できるようにすべく、ジャパンがマイボール・スクラムの早い球出しをひとつの戦術としたのはよかったが、スクラムやモールをあれほど押されるとは! FW の力ではウェールズと同等(あるいはそれ以上)のカナダに対して、「押せぬまでも押されない」ことを前提として戦術を立てることができなくなったようだ。
 もっともレッドドラゴンズはそうした FW の優位を、そのままジャパンにぶつけてきたのではなく、あくまでパスによる展開のお膳立てとしていた。つまりウェールズ FW はオーストラリアのようにガツガツ当たっては来なかったのだから、ジャパンとしてはある程度はやれるはずだったのだ。しかし、センターのところであれほど簡単に抜かれては、組織的ディフェンスなど成り立ちようがなくなる(ウェールズにとっても、あそこで簡単に抜けてしまったのではテストにならなかったのではないだろうか)。「センター」とはいっても、誰か特定のプレーヤーの個人的責任といえるかはわからない。大西はこの日もタックルを確実に決めていたが、抜けられたのはその大西の左右、つまり 10-12 あるいは 12-13 の間だった。今村のタックルがテンパると手だけになるのもいつものことだが、とにかくこのチャンネル 2(ただしルースな局面も含めてのことなので 10 番・12 番・13 番だけが悪いとは限らない)でのディフェンスの破綻が大誤算だったと思う。しかもそこを突破したのは S・ジョーンズやフック、あるいは SH のフィリップスら BK だけではなく FL の M・ウィリアムズなどもやりたい放題だったのだから、打つ手がなくなってしまう。相手がボールをこぼすほどの「低く速いタックル」も少なからず決まっていただけに惜しまれるけれども、三試合で失点 198(得点 52)、NZ と同組のポルトガルの失点 195 を上回っているのはただただひどい。
 ジャパンのトライはどちらも人を興奮させるに足るものだったが、こちらから仕掛けて取ったものではなかった。前半の「逆転トライ」は、ウェールズがラックのボールを見失ったところを大野が機転を利かせて拾い上げた(やはり彼はすごい)のを、ロビンス・大西・今村・遠藤と 90 メートルつなぎ切ったもの。ジャパンのファンは皆「パスが上手く行くように」と祈ったに違いないが、今村がディフェンスを二人(三人?)引き付けて遠藤にパスするという「13番」らしい働きを今大会初めて見せたのもよかった。また、後半のインターセプトからそのままポスト真下まで走りきった小野澤の個人技も見事だった。

 攻撃の誤算はモールが通用しなかったことだろう。こうなると、FW を誇るカナダとのマッチでは、展開に活路を見出すしかない。ロアマヌの FB は可もなく不可もなくというところだが、最後の場面でなぜボールをタッチに蹴り出したのだろうか。いや、その「無駄なことはしない」という諦めが世界標準であることは承知しているが、やはり展開して欲しかったと思う。とにかく、カナダ FW の突進をかわして、外に外に展開するようにしないと、今日のようにゲームが壊れてしまうし、勝利など望めなくなると思う。

 レッドドラゴンズの方は、BK の陣容が固まり、フックの 12 番、フィリップスの 9 番、またD・ジェームズの 14 番でこれからのゲームに臨むだろう。対フィジー戦は、パスプレーの調整に加え(だからこの局面ではいわゆるスペクタキュレールなラグビーが期待できる)、南アフリカに備えて FW の攻撃も試されるはずだ。ただし、フィジーはジャパン以上に FW が弱いので、本当の意味でテストになるか怪しいところである。

 今晩はプール D の「決戦」のふたつめ、フランス対アイルランドのマッチである。ナミビア相手に本気を出すというのはあまりフランス的でないと思うが、勝ち残りのためにはやむをえぬやり方だった。レ・ブルーにはやはり何かを期待してしまうのだが、わたくしはアイルランドのとりわけバックスの連携、オートマチズムを超えてほとんど組織的「フレア」にまで達しようとしていながら、失調したバックスラインが気になる。
 前回大会ではオドリスコル一人に頼り切りだったのが、その後定着したゴードン・ダーシーを始めとするプレーヤーのこの数年の成長ぶりには目を瞠るものがあった。大半がラインスター・クラブでプレーしているのも大きいだろうが、その自在な連携プレーはシックスネーションズのひとつの華でさえあったのに、本当にどうしてしまったのだろうか。

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