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2007年9月28日 (金)

トンガ 対 イングランド 20-36(10-19) プール A

 パリはこの一週間でグッと気温が下がり、外で長時間過ごすにはマフラーが欠かせなくなった。先日の日本の試合に続き小雨の中での観戦だが、それなりに人は集まっている。トンガ人だろうか、故郷の言葉で応援しているグループもあり、どちらかというとトンガの勝利を、あるいは少なくともその健闘を期待する人の方が多いように思われた。わたくしもその一人だったが、しかしウィルコのプレースキックに対するブーイングはいただけない。「批判」はプレーで、つまりゲーム内容、そして結果を通じて行うべきである。

 少なくとも前半、見ていて面白いのは間違いなくトンガだった。ラックでのボールの争奪は今日は互角だったが、それに続くプレーはまったく違い、トンガの場合は、さらにラック・サイドを攻めるのであれ、ラインに展開するのであれ、ほぼ同じテンポでプレーが継続される。ハーフのさばきも、FW の集散も、ライン攻撃でのサポートも間断するところがなかった。雨がなければ「オフロード」・パスがもっと活用されただろう。イングランドはまるでオールブラックスのようなこの攻撃に、前半の前半は対応できず苦しんだ。もっとも、パニックになっているようには見えなかった。われわれの願望とは逆に、自分たちが負けるなどとは全く思っていなかったのだろう。
 流れが大きく変わったのは、イングランド二つ目のトライのあたりではなかったか。トンガの左オープンの展開でパスが乱れ、拾ったイングランド WTB サッキーが独走してあげたものだが、数的にも不利で、インターセプトされかねないほどディフェンスラインが接近してもいた状況なので、SO ホラは無理して長いパスを試みる必要はなかった。もちろん結果論だが、内容で劣勢に立たされていたイングランドは逆転 PG に続くこのトライで落ち着きを取り戻し、それからは再逆転を許すことなく、着実にリードを広げていくこととなる

 点差が大きく開いてしまったのは、とりわけ後半、トンガのタックルが決まらなくなって何度もブレークを許したため、スクラムやモールで圧倒的に優位に立ったため――トンガによるモール拒否は頭の良い戦術である――、そしてもちろんウィルキンソンのキックが炸裂したためである。いや、キックだけではない。タックル、セービング、ハイパントのチェース、デコイランなど、今日もまた「ウィルコ・ショー」といって差し支えないほどの活躍。後半の CTB ファレルのトライは、ループかと思わせるサポート・ランが結果的に(あるいはそういうムーブだったのか?)ファレルのマークをも引き付け、出来たギャップをファレルが突いたもの。
 明らかにバテてしまったトンガ・ディフェンスを CTB テイトが個人技で突破したり、あるいは FW がパスも交えて割と簡単に突破したりする場面もあったが、準々決勝以降ではそう上手く行くまい。展開を志向するのは結構なことだ(「ウィルコ・ショー」のエクスキュースという意地の悪い見方はしない)。しかし前半はまったく抜ける感じがしなかったし、もっともっと工夫する必要があるだろう。ゲームメーク可能で、かつ高い確率で DG を成功させられる 12 番がいれば、ウィルキンソンを軸にムーブを多用した展開を試みてもよいのにと、そんなセンターなどいはしないからこその現スタイルであることは承知の上で敢えて夢想したくなる。ダラーリオは好きな選手だったけれども、さすがに衰えは隠せないようで、あの粘り腰の色っぽい突破はもう見られないようだし、せめてバックスのプレーでそういう色気を多少は感じさせてくれてもよいのではないか。

 トンガの敗退は残念だが、今後の活躍が楽しみである。ジャパンとも来年戦うことになる。
 明日はフィジーとウェールズのプール二位を賭けたマッチがある。応援しているレッド・ドラゴンズには勝ってもらわないと困るが(金を賭けているわけではない)、対ワラビーズ戦で主力を休ませたフィジーがどういうラグビーをするか、非常に興味深い。

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