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2007年9月13日 (木)

日本 対 フィジー 31-35(9-10) プール B

 この試合は勝たなければいけなかった――多くの人がそう感じたことだろう。ゲームの流れや観客を味方につけることに成功したのだし(パリのパブリックビューイングでも、フィジー・ファン以外は最後の攻めでは「負けている側の逆転」を期待していた)、対ワラビーズ戦を犠牲にしてまで勝利を目論んだ試合なのだから。
 それだけ書いてしまうと、他にいうべきことがほとんどないゲームであった。両チームともミスが多すぎる。だから勝つこと、勝つためのプランをどう実行するかというところに注目するほかなくなってしまう。前回大会とは異なりフィジーは、特に日本を研究し対策をとってきたようには見えず、いざとなれば、ザウザウがいなくとも、またフォワードが劣勢になろうと、個人技でトライを量産できるくらいに考えていたのではないだろうか。SO ニッキー・リトルが時々思い出したようにハイパントを蹴り込んでくるものの、ほとんど無策だったし、フォワードはまったく統率されておらず、またノックオンなどハンドリング・エラーが異常に多かった。こんな好条件でフィジーと対戦できるチャンスはそうないといっていいだろう。だから勝たねばならなかった。
 なまじ勝ち点 1 を得たために、プール三位を確保するという現実的な目標の実現可能がまだ残っているのが悩ましい(1 勝 3 敗でカナダ、フィジーと並ぶという可能性)。ウェールズ戦はやはり捨て試合になってしまうのだろうか。その場合、カナダ戦は、今度こそ必勝となるはずだが、勝つための万全のプランを立てることはできるのだろうか。この試合でジャパンは、フィジーの不調にも助けられつつ、ともかく理想的なゲーム運びをした――79 分までは。タイムアップまでの五分ほど途切れなく継続された攻撃は、プランも定石も超えたいわば「フレア」によるトライを目指したのだが、陣形も何も構わずただ回すだけでトライをとれる気配は全くなかった(もちろん体力が限界に来ていた)。15 人で七人制ラグビーをやろうとしているように見えたといってもよいが、最後の最後にフィジーの得意とする形になってしまったのはなぜだろうか? いい換えれば、ここでもプランどおりモールを組んでトライを狙うべきではなかったか?
 侍魂? もしかするとそうかもしれない。モールも立派な戦法だが、そしてジャパンのこの日のモール・トライは非常に美しかったとはいえ、あの場面でモールによってトライを取るのは何か違うような気がする。だが、ライン攻撃があまり通用しないことは明らかだったのだから、冷徹に勝ち負けを考える立場からすれば、これはゲームリーダーのミスということになる。Euro Sports フランス語版の解説ティエリー・ラクロワ(元フランス代表 SO)はジャパンの戦い方を「賢い」(intelligent)と繰りかえし評したが、つまりジャパンは最後の最後でその「賢さ」を放棄したわけだ。この点は賛否の分かれるところだろう。プランを貫徹すべきだったとする意見、そしてジャパンはプランを超える次元で「ラグビーの魂」にどうにか触れたという意見、あるいは願望……。
 わたくし自身は後者の立場をとりたい。ジャパン・フィフティーンは最後の数分間、自分たちの長短所、相手の長短所にかかわらず、とにかくラグビーをしようとした(それがパスプレーだったことは興味深い)。フィジーを上回るにはまだまだ多くのものが不足しているが、それでもジャパンがそうした「ラグビー魂」に衝き動かされたことは肯定的に考えてよいのではないだろうか。わたくしはあまりに楽観的だろうか。しかし選手たちは「勝敗」を度外視したわけではない。というより勝つためにゲームを行なうのは明らかなのだから、彼らはあくまで勝利を、ただしプランとは別のやり方で手にしようとしたと、そういうことだ。
 ゲームの細部について。
 責められるべき明らかなミスは、前半の失トライの原因となった箕内・吉田の「8-9」の失敗と、11 番遠藤へのパスの再三の失敗である。後半は、敗戦の直接的な原因といってよいと思うが、ハイパントをキャッチしたロアマヌが孤立して絡まれ、PG を与えてしまった点が痛かった。あれがなければ、最後に PG で逆転できたかもしれないからだ。それに、やはりショートパントなど苦し紛れに蹴られたキックはほとんど全く無意味だった。
 フォワードはトライも含め素晴らしかったと思う。やや心配された松原のスローイングはほぼ完璧だったし、タックルを精確に決め、またフィジーの FW が淡白だったこともあろうがスクラムやラックでのターンオーバーも少なからずあった。結局フォワードで三本トライをとったわけだから、ただただ称えるほかない。最後の消耗は今後の課題だろう。
 バックスの方は、ロビンスのハイパントが、チェースするプレーヤーとのタイミングも合っており効果的だったと思う。が、ロビンスは SO というよりやはり CTB (あるいは FB)の選手である。SO のところで複雑なことをしないのであれば、むしろ「SO 大西・12 番ロビンス」でよいのではないだろうか(大西のプレース・キックはとてもよかった)。SH 吉田はゲームプランをよく理解して冷静に役割をこなしており、まずまずよかった。怪我の具合はどうなのだろうか。今村は一度だけスピードに乗って突破を試みたが寸前で止められた。あれは国内だと抜けていたのだろう。FB は久住の方が安心できるようにも思うが……。

 次はカーディフでウェールズ戦。0-98 という惨敗は記憶に新しいが、これを上回る大敗ということにはならぬよう祈っている。

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