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2007年9月10日 (月)

ウェールズ 対 カナダ 42-17(9-12) プール B

 パリは続いて夏日となったようだ。ナントも同様だろう。前半だけでいうなら、カナダは文句のつけようがないゲーム運びだった。わたくし自身は久しく見ていなかった「メイプルリーヴズ」(?)は普通にラグビーが上手く、タックル・アタック両方にわたって切れの良いダッシュでチーム全体を勢いづけながら、カウンター攻撃に冴えを見せた。キャプテンでもある SH モーガン・ウィリアムズは文字通りチームを率いて本当によく戦ったといっていい。
 これが後半にも継続できれば――ということはすなわちウェールズが完敗するということだが――カナダはとうていジャパンが勝利を望めるような相手でないというところだった。しかしカナダの善戦は後半少し過ぎまでで、後はウェールズが 5 トライ連取と圧倒して危なげなく勝利を収めた。前半に 2 トライを奪われたとはいえウェールズのディフェンス陣形は崩れることがなく、綺麗な形でのラインブレークは許さなかったのが、いわゆる「素の力」の違いなのだろう(ただし前半はタックルが「成功」するもことごとく押し込まれていた点は、ジャパンの為にも特筆しておかなくてはならない、カナダに攻め手を渡すと、タックル→少しずつ後退の繰り返しでおそらくジャパンは最後まで持ちこたえられない可能性が高い)。
 ウェールズは時々スロースターターとなってしまうようだ。2005 年シックスネーションズの対フランス戦がまさにそうだったわけだから、「格下」ゆえに舐めてかかったということでは必ずしもないだろうが、後半途中までよいところがあまりなかったのは事実である。おそらく SO ジェームズ・フックはきちんと研究されていたのだろう、今日は良いところがほとんど見られなかった。それにしても、趨勢がはっきり逆転することになった後半途中のウェールズの選手交代はどう考えればよいだろうか。フックに代えてスティーヴン・ジョーンズ、ケヴィン・モーガンに代えてガレス・トマス。要するに「大物」が投入され、流れが一挙に逆転したわけで、その変化の極端さは何だか漫画のような感さえあった。もちろんカナダの疲労が蓄積した時間帯と重なったのが大きかっただろう。わたくしは象徴的な選手交代の効用を 100 パーセント信じてはいない。例えば先に触れたシックスネーションズのフランス対ウェールズ戦、前半押しまくってリードを奪ったものの後半早々の火の出るようなウェールズの攻勢の前にあっさりと逆転を許したレ・ブルーは、再逆転を狙って後半途中に SO ドレーグからミシャラクに代えた。「ミシュー」の象徴力(神話力といってもよい)が全盛を迎えていた頃でもあり、わたくしはスタッド・ド・フランスにいたのだが、観客の声援がひときわ高まったことをよく覚えている。だが、フランスは結局ゲームを引っくり返すことが出来なかったのだった。
 S・ジョーンズとフックの違いは何だろうか。(単にフィフティーンの気が緩んでいたということでないとすれば)ひとつには、「スピードアップ」が世界的な至上命題となっているところに、独特の(突っかけるというよりタメを作る感じの)テンポをもったジョーンズのプレーが効果的だったとはいえるだろう。彼が SO の位置に入ったとたん、トム・シャンクリンや G・トマスらのラインブレークの連続となり、前半あれほど効果的なタックルを決めたディフェンスがほとんど対応できなくなっていたからである。だが最も大きな違いは、単純に前が見えているかどうかという点かもしれない。象徴的なのが前半のインターセプトの場面だ。カナダ陣右奥まで持ち込んだボールをウェールズが展開する。もうこれはどうしたってウェールズ必殺のトライパターンである。ラックからのボールが SH ピールを経てフックに託される。フックはフォワード(フランカーだったか)にやや長めのパスを送るも、カナダ 13 番にインターセプトされ、そのままトライラインまで走りきられてしまった。S・ジョーンズであればこうしたことは起こらなかっただろう。「パスダミー」から自分で抜いてゆくというプレーがジョーンズにはよく見られるが、実のところそれが本当に意図された「ダミー」プレーなのか、見ているだけではわからない。逆にいうとジョーンズは最後の最後まで相手陣形をよく見ているということなのである。今日のゲームを見る限り、次の対ワラビーズ戦での先発 SO はジョーンズになるだろう。15 日が実に楽しみだ。

 とにかく、20 日にウェールズと戦うジャパンは本日の 40 失点を念頭に置かなければならない。レッドドラゴンズの本気のアタックをすべて止めるのは難しいが、仕留めの段階に至るまえに攻撃を寸断してなるべく失点を抑えること。仮に80 点取られてしまったとしても、カナダは特に油断しはしないだろう。むしろ失点を 40 以下に抑えてカナダにプレッシャーをかけたいところだ。
 カナダのプレーヤーは少なくとも体格で日本のプレーヤーを上回っているのは確かなので、攻撃に際しては、よほどスピードに乗ってでない限り、まともにぶつかってもラインブレークは無理である。できるかぎり対面をずらしつつ攻撃を継続して、走りきれるクリスチャンや今村にボールがわたるような展開に持ち込むことが期待される。
 ディフェンス面からいえば、相手にボールを渡すことになるキックは無用である。当たりは相当強いので疲労蓄積の原因になるだろうし、カナダのスリークォーター・バックスやフルバックはみな足がそこそこ(おそらく北川智規並に)速く、カウンター攻撃にジャパンは対応しきれないだろう。だから、なるべくマイボールを失わないようなゲーム運びをして欲しいと思う。

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