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2007年10月 7日 (日)

「途方もない」? 準々決勝 フランス 対 ニュージーランド

 フランス 対 ニュージーランド 20-18(3-13) トライ数 2-2

 前半圧倒的に攻め込まれ、かつ数少ない得点機会を逸したフランスが、後半 15 分、展開プレーの末にデュソトワールのトライ(コンバージョン)でついに追いつく。点数としては「振り出し」に戻ったことになる。しかし、ゲームの流れをずっと追っていればはっきりわかったと思うが、それは 0 対 0 で試合が一からやり直されるということでは全くなかった。オールブラックスはほとんど平常心を失いパニックに陥っていたからである。前回とまるで同じではないか。フランス側がそこまで読んでいたとすれば――読んでいたのだと思うが――完全な作戦勝ちである。Lequipe_07102007_3『レキップ』紙は『青と黒』第一章の Énorme に続いて第二章を Immense と称えた。形容詞をそんなに安売りすると、第三章には Colossal くらいしか使えなくなるかもしれない。ただし、ゲーム内容としてはむしろ、昨年のワールドカップでブラジルに守り勝ったサッカーのレ・ブルーの方により近いかもしれない。39 分にマカリスターが試みたドロップ・ゴールは、ロナウジーニョのフリーキックと同じだった。

 ボール支配率 70 %超、地域獲得率 60 %超、タックル数 50 回対 200 回という数字が示すように圧倒的に攻めながらオールブラックスは敗れてしまった。確かにフランスはディフェンスを頑張った。だが、タックル成功率 90 %という割には、一次防御はパスとランで何度も突破されていたのだから、ブラックスとしては、キック合戦に付き合わずどんどん走って攻め続けた方がよかったと思う。
 前半、たとえば、フランス 13 番マルティがラインから一歩飛び出してしまって出来たギャップをカーターが見逃さず、ワンテンポずらしたパスをふわりと浮かせてつなぎ、鋭いダッシュで斜めに走りこむマカリスターを突破させたプレー(トライ、ゴール)などはさすがと唸らされた。いずれのプレーも瞬時の判断によるものだろう。逆に後半のラックサイドの執拗な攻撃は、あれだけの時間と体力を費やしてトライを一つしか奪えなかったわけだから――これもやはりラグビーには違いないのだが――この試合でのプレー選択としては大いに疑問が残る。

 対するブルーは、不安視された FB の仕事をトライユが見事に果たしたどころか、不調に見えたボクシス(やや萎縮したか?)の分まで、少なくともロングキックの点では立派にカバーした。パント処理のミスはエマンスに一度あっただけで、トライユ自身は全く危なげなく、ポワトルノー以上の安定感があったとさえいえる。さらに、後半 29 分の同点トライの起点となったプレーが素晴らしかった。タックルで倒れる寸前に放たれたミシャラクへのパス、そしてミシャラクのランとジョジオンのサポートも見事。ショートサイドをフルバックが突くというブランコ推奨のサインプレーだったと思うが、このトライには痺れた。

 それにしても、準々決勝最初の二試合がいずれも二点差という――かつて森重隆がテレビ解説で多用した扇情的レトリックに従うと「こうなれば 0 対 0 と同じですから」――僅差で戦われたのは、見る分には申し分なかった。心理戦なしに、いわばニュートラルな状態で互いのスタイルをぶつけ合うという理想的なゲームが見られるともっとよいと思う。

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