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2008年1月21日 (月)

ハイネケン・カップ プール第六(最終)節

 週末にフランス 2 でハイネケンカップの二試合を観戦する。昨日は「スタッド・トゥールーザン対エジンバラ」、今日は「ハーレクインズ対スタッド・フランセ・パリジアン」。準々決勝進出チームが決まるプール最終節である。

 レンスター(アイルランド)とライスター(イングランド)が同組という、悪くするとプールステージ敗退も覚悟しなくてはいけなかった――とはやや大袈裟だが――トゥールーズは、大会期間を通じて徐々に調子を上げ、また他チームのもたつきもあって、プール首位での決勝ステージ進出をほぼ確実にした状態で最終戦に臨む。試合の感想は、凡庸だが、トゥールーズはやはり強い、そしてゲームは面白かったということになる。
 機転の利くプレーヤーを多数擁しているため、見ていてストレスがたまらずに済む。たとえば後半ひとつめのトライ。攻め込まれた際のこぼれ球をフリッツが拾い上げてラインブレーク(ポワトルノーがフォローにつく)、相手ゴールライン手前まで進んで、ラック形成。テレビでは手前側のタッチライン際のゾーンは映っていないのだが 14 番のクレールがすでに待ち受けており、SH エリッサルドは迷わず、弾道が低めのキックパスを直接送る。手でボールをパスして回してもトライは確実と見えたが、一番手っ取り早い方法でトライを奪った。判断、コンビネーション、キックの精度、どれも百点満点のプレーで、もちろんこれも決め事のひとつとして十分に習熟したプレーなのだろうけれど、いざというときにそれを実行できる点が素晴らしかった。

 エジンバラはパスプレー中心で、完全なラインブレークは望まず、要するにタックルさせつつ半身だけ裏に出て何とかつなぐという方針だったように見えた。ある程度はつなぐことが出来ていたのだが、ミスがあまりに多く、完全に対応できていたとはいいがたいトゥールーズのディフェンスを慌てさせるところまでは行かなかった。スコットランドのチームだから(とはもはやいえないかもしれぬが)FW は強かったけれども、こうもミスが頻発してはゲームにならない。

 ジョジオン欠場のためポワトルノーを 12 番(13 番はフリッツ)、エマンスを 15 番、ドンギーを 11 番に置いた布陣も上手く行った。W 杯初戦の頃から同じ意見なのだが、エマンスのフルバック起用は「あり」だと思う。キャッチングやキックはモンゴメリーやレイサムに比べ遜色はあるとしても、ポワトルノーよりずっと安定しているし、攻撃面でも、ライン参加のタイミングやボールを受けてからのプレー選択がより合理的に感じられる。調子のいい時のステップの切れでも上回っている。あと、これはどうでもよいことだが、俳優のマチュー・アマルリックに似てもいる。
 何だかクレマンにつらく当たっているようだが、べつだん嫌っているわけではない。ただ、数年前ラポルトに見捨てられている頃、この人がスーツを着てチーズのテレビ CM に出ていたことがあって、そのときの「ムフフ、俺っていい男だろ」といわんばかりの表情を目にして、積極的に応援する気が失せたという、ただそれだけのことである。まあスタアだからしようがないし、実際、男前ではあるのだが、そんなことはラグビーと無関係なので(コルレトのスパイクシューズの色選択の方がまだしも関与的ではないだろうか)。同じく干されていたヴァンサンが見事に復活したのだから、あなたもまあ頑張ってくださいと、型通りのエールを儀礼的に送っておきたいとは思う。
 もちろんポワトルノーが好いプレーヤーであること自体は疑いようもない。しかし、才能ある不安定な選手はむしろ、型にはまったプレーを要求されるポジションに配して、時々ビッグプレーを炸裂させるような使い方が妥当ではないだろうか。ミシャラクの SH 起用とか。だからポワトルノーもとりあえず、あるいはキック(処理)に本当に開眼しないかぎりは、12 番で――つまりジョジオンやトラーユのバックアップあるいは後継者として――起用するのがよいように思う。今日のマッチではパスを受けたあと横に流れて隣のウィングのスペースを消してしまうという、まるでジャパンの平のようなまずいランも見られたが、それはまだバックスリーとしての癖が残っているということにすぎないので、センターとしての意識を高くもてば、かなりのプレーヤーになる予感がする。

 プール首位のカーディフ・ブルーズに 3 ポイント差をつけられたスタッド・フランセは、いわゆる自力での勝ち抜け可能性がなく、最大の 5 ポイントを獲得しても、カーディフがともかくも勝ってしまえば敗退となる。ここまでずっとトライが取れず苦しんだのが最後に効いてきたというところである。
 とはいえラグビーはどんな時にも全力を尽くすスポーツなので(多分)、自分たちに出来る限りのことをやろうとする選手たちの頑張りは清々しかった。結果の 4 トライはいずれも見事なプレーの結実したものだが、今日は SO スクレラの出来が殊のほかよかった。悪いときはタックルとキック(の失敗)しか印象に残らない人だが、今日は相手の陣形がよく見えていたのだろう、味方を前に出すプレーが随所に出ていた。抜いて突進したあと(進んだ方向もよかった)、さらにタックルさせながらエルナンデスにつないだパス(エルナンデスがさらにタックルさせながら 14 番アリアスにパスしてトライ)は、ラグビーの理想的なあり方のひとつを最も美しい形で具現化したものだった。この人もラポルトに干されてきた不運のプレーヤーだが、そう、前にフランス代表のバックスはトゥールーズでよいと放言したときにわたくしは、ダヴィッドのことをすっかり失念していたのだった。少なくとも控えの SO として選ばれて欲しいと思う。

 前半トライが思うように取れず(2 トライのみ)、後半にスタッド・フランセは「より攻撃的な」布陣として、15 番にコルレト――黄色いスパイクはやめたのか?――、エルナンデスを 10 番に上げ、スクレラを 12 番に置く(さらに 13 番にミルコ・ベルガマスコが入る)。その割にはしかし、やはり思うようにトライを奪うことはできずもたついた。プール最下位のハーレクインズだからトライを三つ追加することができたものの、もっと強力なチーム相手にそこまでやれたかどうか、わからないところがある。まずペネトレーターがいない。突進力で筆頭に立つのは(ス)ザルゼウスキーだろうが、そして本当に好いプレーヤーではあるのだが、この人はミスが多い。自分が行かねばという気負いが強すぎるのかもしれない。パリッセあたりがそういう役目を分担すべきだろう。BK もドミニシの衰えをカバーできないままだと、いわゆる善戦止まりという戦いぶりから抜け出せないような気がする。FB ・ CTB には余るほどタレントが揃っているのに、どうにもバランスがよくない。クラブチームだから、ローテンションのようにして回してゆくのは決して咎められることではないのだが――ベテランが時々出場して輝きや貫禄を見せるのも悪くない――ちょっと歯がゆさを感じてしまう。

 ハーレクインズはあまり見たことのないチームだが何だか小型だった。ロックの二人と、先発 13 番のルースコンブ(南ア出身、ウェールズ代表)以外はみな 180 センチあるかないかくらいに見えた。果敢にボールを回して、長い時間攻めはしたのだが、あまりゲインは出来なかった。このチームにもペネトレーター不在の問題があるといえるだろう。南ア・ストーマーズから移籍のD・バリーは残り 10 分足らずのところで出場機会を得たものの、ほとんどプレー参加できなかった。

 このあとシックスネーションズを挟んで四月に準々決勝が行なわれる。忘れそうだから、進出チームを書き記して終わりとしたい(一度も見ていないので何ともいえないが、前回優勝のワスプスは「失速」し三位に終わった)。

準々決勝…… 4 月 6 日(イ 3 チーム、ウ 2、ア 1、フ 2)
 A1 サラセンズ vs オスプリーズ(二位)
 B1 ロンドン・アイリッシュ vs ペルピニャン(二位)
 A2 グロウスター vs マンスター
 B2 トゥールーズ vs カーディフ・ブルーズ

準決勝 A …… 4 月 26 日(A1 勝者のホーム)
準決勝 B …… 4 月 26 日(B1 勝者のホーム)

決 勝…… 5 月 24 日(カーディフ、ミレニアムスタジアム)
 (ちなみに昨年度決勝ワスプス対タイガーズは入場者数 81,076 人とのこと)

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