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2008年1月13日 (日)

ハイネケン・カップ プール第五節

 週末にフランス 2 でハイネケンカップの二試合を観戦する。昨日は「サラセンズ対ビアリッツ・オランピック」、今日は「クレルモン・オヴェルニュ対マンスター」。

 前回、ヤシュヴィリのキックで辛勝したビアリッツは、ボーナス・ポイントつきで勝利しないかぎり決勝ステージ進出の望みが絶たれてしまう。基本的にサッカー用のスタジアムとのことで、インゴールの狭さが気になるが、グラウンド・コンディションは悪くない。イギリスのスタジアムはとても行儀が良くて、プレース・キックは敵味方かかわりなく水を打ったように静かに見守るのが清々しい。フランス人のように、好きなときに好きなだけ野次を飛ばすのも決して嫌いではないが、まあともかく、違うんだなあといつも感心する。
 プレーの面では両チームにそれほどの違いはないように見えた。基本的にパスでボールを動かすという方針だったようで、ビアリッツの方は陣地を取るためのキックを織り交ぜるが、それも程度問題である。ホームのサラセンズは、R・ヒルが 7 番、B・ラッセルが 15 番、スタンドでは T・カステニェードが観戦していたが、もうこれは世界的な大スターといってよいだろう Ch・ジャックが 4 番に入る。新人の頃はみんな「ジャック、ジャック」といっていたものだが、そういう人にも引退の時期はやはり訪れるわけで、感慨深かった。ただしそれはオールブラックスの話で、今日は 2 トライ、サポートプレー、カバーディフェンスなどなど大活躍だった。チームとしての戦い方は徹底されていて、とにかくパスで抜くと、そういうことだった。
 ビアリッツもそうだったのだが、おそらく違いは、ビアリッツのパスがとにかく大外へ回すことを眼目としているのに対し、サラセンズのパス回しが、ギャップをつねに探しつつ行なわれるという点にあるように感じられた。回し続ければビアリッツ側のディフェンスがいつか崩れるという確信があったのだろう。そして結局、その通り、ボール支配率で圧倒したサラセンズは、前半終了間際のトライ以降、大小のラインブレークを重ねて完勝し、プール・ステージ平均 5 トライという高い攻撃力を証明する結果となった。ブランコが仏頂面で見詰めるビアリッツは、11 番に入った Z・ングウェニャを走らせることもできぬまま、すべてに中途半端な戦いぶりに終わってしまった。

 今シーズン初めて見るクレルモンだが、これは面白いチームだと思った。ミシュランの本拠地クレルモン・フェランの住民がうらやましい。プレーヤーは、9・10 を除きとにかく大型ないし強力である。2 番にあの「スーパーマリオ」ことアルゼンチンのレデスマ、8 番に E・ヴェアムーレンというラインアップだけでも迫力があるけれど(むしろ上手さの勝つボネールは 6 番に入った)、BK も 12 番のバイ(フィジー)や 13 番ジュベール(南ア)は特大とはいえないにしても、前者は強さ、後者はギャップをつくことのできる柔軟さ(走る角度がよい)をそなえており、そこに超大型バックスリーが加わる。そしてこれらプレーヤーが、あまり難しいことは考えずガンガン突進するという、(かつての)いわゆる「イケイケ」全開のお祭りラグビーなのだから、面白くないわけがなかった。SH のミニョニもこのチームにはとても合っており、今日は自身でもトライを奪うなど活躍を見せた。
 イエローカード計 3 枚、フィールドに 13 人しかいないという時間帯もありながら、そして得失トライ差がほとんどないという戦績そのままの危うさをやはり露呈しながらも、勢いで勝ってしまった。今日のゲームはこれでよいとして
、マンスターにボーナスポイントを与えてしまったために、決勝進出はきわめて困難となっている。
 マンスター――どうでもよいが筆頭スポンサーがトヨタだから、今日は自動車関連メーカー対決である――は敗れてしまったが、首位ワスプスに 3 点差で次節に望みをつないでいる。注目のダグ・ハウレット――これもどうでもよいことだが、フランス人は「ドゥグ(ウ)レ(
ット)」という――は 11 番に入った。さすがにディフェンスは安定している。位置取りもよいし、タックルも厭わない。クレルモンと対戦すると華奢に見えてしまうけれども、ヴェアムーレンやジュベールを一発で倒せるのはやはり一流の証だろう。ただし終了直前に、セービングする相手プレーヤーへの飛び込みという反則(判定自体は微妙だったが)を犯し、駄目押し PG を与えてしまったのが残念だった。
 両チームの差は「勢い」だったといえるが、そのことはとりわけ FW の集散力に顕著だった。マンスターもボールを活かす工夫をいろいろしていたのだが、大事なところでサポートが必ず遅れてしまい、多数のターンオーバーを許してしまった。強さで引けをとった上に機動力でも負けてしまった当然の結果である。

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