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2008年4月27日 (日)

ハイネケン準決勝 ロンドン・アイリッシュ 対 トゥールーズ

 トゥイッケナムのあるロンドンのことはわからないけれど、この週末、パリはほとんど夏だった。土曜もそうだったが、とりわけ日曜は陽の当たる場所で 30 度を超す暑さとなった。わたくしはレピュブリック駅のエスカレータで足を踏み外して大転倒し(急いでいたのです)、たいへん恥ずかしい思いをした。落とし穴に陥れられた人が後を振り返らずに脱兎のごとく走り去る理由がわかった気がした。わたくしの場合、後の男性が「Ça va ?(大丈夫か)」と声をかけてくれたために、振り返って応答するという形で間抜け面をさらさなくてはならなかったのだが。

        *

 ともに複数の負傷欠場者がおり、メンバー選択に苦労の跡が窺えたが、スタッド・トゥルーザンにとってのクレール(とハーフのクーラン)と、ロンドン・アイリッシュにとってのキャットの比較では、後者の存在がより大きかったといえる。
 トゥールーズの両 WTB は、オジョとタギカキバウという非常に強力な対面にもかかわらず、ディフェンス(とりわけドンギー)や味方を余らせてトライさせるパス(メダール)で頑張ったのだが、他方、ロンドンは戦術の要が抜けてしまったことで、戦い方をいわば 180 度変えなくてはならなくなった。が、必ずしも悪い影響ばかりではなかったと、個人的には思う。というのも、キャットに代わって 10 番に入ったゲラーティはほとんど蹴らない人なので、勢いボールは横へ横へと展開されることになったからである。実際、良くも悪くもゲラーティはこのゲームでは、試合終了間際の突破は別として、パサー(とりわけ飛ばしパスを含むロングパサー)に徹したわけだが、両チームともにボールをパスで動かすわけだから見ている方としてはまあ面白かった。

 トゥールーズの方は FW が特によかった。スクラムで優勢、また劣勢の予想されたラインナウトでも相手ボールを奪うなど互角以上で、勝因のひとつに挙げられるだろう。しかし、マッチとして最後の最後までもつれてしまったのは、ディフェンスのミスが多かったためかもしれない。具体的にはエマンスの二回のタックル・ミス。ともにトライに直結したもので、ひとつ目はまずエリサルドのタックルが外されたので仕方ない面もあったけれど、ふたつ目は陣形を崩されたわけではないのだから、ディフェンス時の連携の確認など、決勝に向けての課題となりうるだろう。ライン・ディフェンスのブリッツは総じて有効的だった。もっとも、エマンス個人としては、それ以降はタックルを何とか決めてトライを防ぐことができたので、差し引きゼロというか、結果オーライともいえないことはない。攻撃時のランの切れ味は相変わらず素晴らしかったので、良くも悪くも目立っていたということになる。
 「ジャン=バ」・エリッサルドの SO は引き続き好調である。ゲームがよく見えているのだろう。SH のケレールが余計なことをせずパス(とタックル)役に徹することができるというのも――フランス的でないともいえるが――この日に限ってはよいことではなかったか。SO からのハイパントは確か一本もなかったように思う。

 そうそう、今日はプルースの突破を二回も見ることができた。体格的に象のような走りとなるのが壮観だった。どちらもトライには至らなかったのが非常に残念だった。サポートのコールがなかったのか、あるいは聞こえなかったのか。どうせなら最後まで自分で行け(れ)ばよかったのにと思う。

 タッチキック以外はほとんどボールを回すことになったロンドン・アイリッシュの攻撃は、つねにディフェンスを崩せたわけではないにせよ、挑戦したという意味で感動的だった。繰りかえしになるけれども、キャット欠場の肯定的側面である。ひとつ目のトライは、ショートサイド攻略の有効性を再確認させるものといえるだろう。それにしてもオジョ(ナイジェリアの人)とタギカキバウ(サモアの人)はなぜあれほど簡単にタックルを跳ね返せるのだろうか。
 6 点差を逆転すべく、ロンドンは終了間際にも果敢に展開し、うまい具合にスペースと数的優位を作りだしたのだが、ハンドリング・エラーといえばよいか、とにかくパスで仕留めることが出来なかったのは残念だった。あれはウェールズ代表やトゥルーズだったらトライになっていただろう。13 番で出たリチャーズ(W 杯時の SH)は、対面の大型 CTB のことを考えればディフェンスで頑張っていたし、ラインにいくらかはスピードを付け加えることができていたように思う。全体的に有効な攻撃が少なかったとしても、それは個人のせいではおそらくない。結局のところ、「素の力」は別として、ロンドン側がいくらか可能性のあった勝利を逸してしまったのは、得意のはずのラインアウトの不調ということになるだろう。

 フランス 2 はワイドテレビ対応放送に切り替えたのだろうか。ふつうのテレビだと画面が左右方向で圧縮されてしまい、とても違和感をもった。あと、放送席にポワトルノーが招かれていた。髪形が変わっていたため、最初は誰だかわからず、ただの素敵な美青年としか見えなかった。早く怪我を治して、レ・ブルーのセンター(かフルバック)を狙ってください。

         *

 結局、なんだかんだいっても、トゥールーズは最後まで残った。個人的にはライスター(大会敗退後はロフレダの進退が問題となったらしい)やオスプレーズも見たかったが、まあとにかく来月の決勝を楽しみに(そしてとりわけ忘れないように)待ちたい。

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