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2008年5月18日 (日)

トップ 14 クレルモン 対 ペルピニャン

 フランス国内リーグ「トップ 14」の上位争いに直接関係するマッチ。昨日からしばらくの間、無料で視聴できるようになっているカナル・プリュスでの放送(ユーロが始まったって絶対に加入しないぞ!)。解説は、あいかわらず成熟・老成を知らぬ声のトマ・カステニェードである。
 クレルモン=オーヴェルニュの方は、SH ミニョニと三列のヴェルムレン〔※〕、WTB のマルジウが負傷欠場。FB には確か CTB で代表キャップを得ているバビが入った(フロッシュはベンチ)。ペルピニャンでは、来期から南アのライオンズでプレーすることになっている FB モンゴメリーは、ボクスの合宿に参加する予定のため最後の試合になるらしい。それが関係したのかどうか、ハイパントのキャッチに大失敗し、トライを許す原因となった。

 両チームとも積極的にボールを回してラインブレークを狙うという、とても面白いゲームだった。双方ともにディフェンスが大きく崩されることはなく、それだけに紙一重のところを抜いてゆくというスリリングな攻撃が多く見られたような気がする。
 スクラムはどちらかといえばペルピニャンが優勢だった。クレルモンの方は SO のブロック・ジェームズ(元豪ウェスタン・フォース)が、安定したプレースキックや的確なプレー選択にもうかがえるとおり好調を保っており、いつものように迷いのないアタックを展開していた。ミニョニの代役ピックも遜色ないプレーぶりだった。

 ペルピニャンの CTB マルティ(13 番)は、代表のゲームでは、得意技である相手に当たってターン(スピン)しつつ抜いていこうとするプレー以外に感心したことが実はほとんどなかったけれど(もっとも、成功したところを見た記憶もほとんどない)、このレベルだとやはり光っている。相手側のジュベールが今日はあまり目立たなかったのと対照的だった。
 とくに印象に残ったのは、前半の前半、12番が突破して出来たラックから、SH → SO →マルティとボールが渡った(だから 12 番はラインにいない)場面で、小刻みにステップを踏みながら敢えて真っ直ぐ走り込むことによって、対面の CTB 二人を引き付け、後から走り込むモンゴメリーのためにスペースを作ったプレー。クレルモンの 14 番のタックルが素晴らしかったためにモンゴメリーは
半分ブレークしただけで止められてしまい、外の WTB にパス出来なかったのだが、マルティのプレーはアウトサイド CTB のお手本といってよいだろう。こうしたプレーをテストマッチでも見せて欲しいものだ。

 ペルピニャンは確かに好チームなのだが、弱点はもしかすると「助っ人外人」に頼っている SH ・ FB かもしれない。モンゴメリーが悪かろうはずは無論ないにしても、大幅なプラスをもたらしているようには見えなかった。このマッチでは PG をふたつ外したのがチームとしては非常に痛かったと思う。失トライの原因になったキャッチング・ミスについては、まあこのレベルでもそういう失策はあるのだなあと言うほかないが、目測を誤ったというより、突っ込んでくる相手プレーヤーが目に入り腰が引けてしまったように見受けられた。ウェールズのギャットランド監督は「モンゴメリー、狙うよ」と XV に指示することだろう(六ヶ国対抗で素晴らしい精度のキックで魅せたL・バーンが欠場するのは痛手だが、きっと誰かが蹴って、プレッシャーをかけるはず)。
 SH のキュイシテールは、数年前は確かスコットランド代表でほとんど唯一世界レベルに達している選手とまでいわれていたはずだが、その後はずっと精彩を欠いたままである。今日の試合でも、ラックへの寄りが遅れがちだし、絡まれた場合に強引にボールを出すこともできず、結果としてプレーの全体的な速度が落ちる原因になっていると感じられた。プレーの方向を決めることができる(アタックの起点になれる) M・ブレアの方が、現時点では評価が高くなるのもやむなしといえるだろう。

 試合後もたっぷり時間を取ってスタジアムやロッカールームの様子が伝えられるのは悪くない。くつろぎつつインタビューに応じるプレーヤーを見ていればどうしたって「わがチーム」というような愛着が湧いてくるだろうし。面白かったのは、クレルモンの 11 番マラガが、他の選手はすでに奥に引っ込んで着替えを始めているのに、芝の上で大勢のファン(多くは少年少女)に囲まれて帰してもらえず、泣きそうな顔でサインさせられていたことだ。ルージュリーは別格としても、彼が一番人気ということなのだろうか(ただし今日はあまりよいところがなかった)。

〔※ Elvis Vermeulen の表記はヴェルムレンが適切だろう。まず、外来の言葉なので(本人はフランス人だが名前自体は外国語起源ということ)、 en の原則的発音(a の鼻母音)には必ずしもならないということがひとつ――つまり、この場合の en はアルファベットの n をそのまま読むときの音であり、日本語表記の慣例に従うとすれば、パリジェンヌやセゴレーヌなどのように、エ(ン)ヌ、エ(ー)ンとなる。類似の発音の例として作家のヴィクトール・セガレン(Segalen)を挙げることができる――いや、そんなマイナーな名前でなく、偉大なフランカー、セルジュ・ベッツェンを思い出せば十分だろう。また TF1 ・フランス 2 ・カナル・プリュスすべてのアナウンサーが一律に「ヴェルムレン」と発音していることも傍証として挙げることができる。念の為にウィキペディアを覗いてみると――ちゃんと項目があることに何より驚かされる――「ヴェルムラン」となっているが、これは正しい情報とはいえない(細かいことをいえば、語の途中の r はさほど強調されないため、実際は「ヴェァ…」と聞こえるが、慣用との兼ね合いからして「ヴェル…」に落ち着くだろう)。〕

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