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2008年10月19日 (日)

ハイネケン・カップ プール第二週

 永世竜王位の懸かった七番勝負・第一局に渡辺明と羽生善治が臨むパリの週末(ジャーナリストによる観戦ブログ)。オールラウンダーと称される羽生名人に対し、渡辺竜王の穴熊戦法はたとえていうなら、絶対的に信頼の置けるフルバックにディフェンスはすべて任せて残り 14 人でとにかくガンガン攻めに行くという感じだろうか。途中でおやつ休憩が入るような将棋とフットボールとでは時間性がそもそも異なるので、こうしたアナロジーはただの遊戯にすぎないけれど、それにしても羽生の 64 手、6 四角! 82 手、8 六角! 86 手、6 七銀! には驚嘆し、そして痺れた。

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 午前中はかなり冷えたものの天気は好かったこの土・日、フランス 2 でハイネケンカップの二試合を観戦する。昨日はプール 3 の「オスプレーズ対ペルピニャン」、今日はプール 1 の「モントーバン対クレルモン・オヴェルニュ」。二試合目が竜王戦との同時観戦となってしまったのは、この第一局が本当に面白かったから。

 オスプリーズ、ペルピニャンともに負傷欠場が多かった。オスプリーズは FL・SH・SO・CTB、つまり J・トマス、フィリップス、フック、ヘンソンらが欠場(主将の R・ジョーンズが 6 番を務め、ティアティア、37歳が No. 8 で先発)。対するペルピニャンもマルティら CTB 二人が欠場、さらに 10 番が開始間もなく負傷退場を余儀なくされ、控え SH が SO を務めるというスクランブルとなった。もっとも、このフロントスリーはよく頑張っていたと思う。実際、キックオフから 15 分くらいの間はペルピニャンの攻勢が続いたのだから。センターのところでブレークすることも数回あったし、ともかくオスプリーズ陣でプレーし続ける間に PG 二本で 6-0 と先行し、とりあえず優位に立つこととなった。攻撃面で言えば、今日は SH の Cusiter (あー発音がわかんないや)がとてもよかった。ようやくチームにフィットしたというところだろうか――あるいは数年前の好調が戻ったというべきか――スコットランド代表でのライバル、M・ブレアと比較しても遜色ない働きぶりだった(まあ彼が目立ったのは SO・CTB 一本目の欠場ゆえということも幾分かはあるだろうけれど)。ただ、オスプリーズのディフェンスが堅く、トライを奪うことができるようにあまり思われなかったのも事実である。

 ペルピニャンの方も防御は頑張ったといえる。ボール・キリングと判定されるプレーは確かに多かったのだが、オスプリーズ――アタックでのミスが多発したとはいえ――をノートライに抑えたのだから。
 そのオスプリーズ側は、相手陣 5 メートルライン付近で左右に大きく、また素早く揺ぶるという、近年のウェールズ代表とも共通する得意の形に一度ならずもち込んでトライを予感させたものの、「仕留め」の段階でミスが続く。また要するに気の利いたプレーヤーの不在も響いたに違いない。ベストのラインアップなら二、三トライは奪うことができていたかもしれない。相手ゴール前のスクラムで S・ウィリアムズを SH として用いるスペシャル・プレー(エイトから出たボールをもってそのまま突進・ステップ)もトライには至らず、結局は PG による 15 点にとどまった。もっとも、スクラムでの明らかな優位からして(ラックやラインアウトは互角)、負ける気配は感じられなかった。もちろんペルピニャン側に一時退場(シンビン)が三人出たことも無視できないけれども。

 シンビンについて。
 一つ目は、パントをキャッチすべく空中に飛び上がったプレーヤーの足元に 14 番が入ってしまったプレー。悪意はおそらくなかったろうし、タックルされた方も無傷だったが、これはルール上やむをえない措置というほかない。
 二つ目は、O が P ゴール前に攻め込んだ局面、2.7メートル付近のラックから出たボールをもって突進したティアティアの足にタックルして捕まえた 6 番 J=P・ペレズが、その後オフサイドの位置にいたままプレーをしてしまった(つかんだ足を離さなかった)とのこと。これはやや厳しすぎる判断かもしれない。ティアティアには他に三人が同時にタックルに行っており、そのうち一人が外されてペレズの上に乗っかってしまった為に動けなかったともいえるし、また、いずれにせよボールは生かされてすぐ O 側に出たからだ。ただし、レフリーのバーンズ氏――すなわち昨年の W 杯でカードを最も多く発行した人――の目からすれば、P 側は試合を通じて "too many penalties on the floor" だったということになり、心証は相当悪かったのだろうと想像する。
 三つ目は後半、ティアティアを一人で止めた 18 番のプレーヤーが、ボールの出を邪魔したとのこと。ふたりが倒れた後すぐに O のプレーヤーが大挙して上に圧し掛かってきたので、いずれにせよ 18 番は動けるはずもなかったが、規則は規則ということだろうか。

 他にも、P のロック、アルゼンチン代表の殺し屋みたいな顔をしたアルバレス・カイレリスが S・ウィリアムズに足を掛けて転ばせるなど、いろいろあった。けれど、こういうことを言い出すと、双方ともそれなりにあったりするだろうから、この辺で。

 J・フックの代役 SO ダニエル・ビガーは、体形やパスのフォームなど、遠目にはフッキーと見分けがつきにくいけれど、来るテスト・シリーズの代表スコッドに選出されたホープの一人。十九歳(!)とのことで、経験不足は否めなかったものの、機を見て自らラインブレークを狙うなど、好感の持てる勇敢なプレーぶりだった。FB の L・バーンは好調。パントを上げて自らキャッチするという得意のプレーは健在だった(見ているかぎりでの印象だが、獲得率はかなり高いのではないだろうか)。

 ペルピニャンも特に後半はボールを積極的に回すようになり、互いに攻め合い守り合うという、それなりに楽しめるゲームだった。反則が多かった点はいただけないが。
 どうでもよいことだが、ペルピニャンは「フランスの」と呼ばれるよりむしろ「カタルーニャの」(catalan)という形容詞をつけられることの方が多い。カタルーニャ出身の友人がいるのだが(フランス国籍ではない)、顔の造形にどことなく特徴がある。生物学的な意味でモンゴロイド的といってよいかどうか、わからないけれども、ダヴィッド・マルティやニコラ・マスらの顔を見るたび、日本にもこういう顔面の人がいるよなーと、親近感を感ずる。最近見ていないけど、東芝の仙波と N・マスとか、近いものがあるように思う。

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 モントーバンのスタジアムは、文字通りの「鳴り物入り」の応援がうるさかった。現地ではまた違った風に聞こえていた可能性はあるけれど、テレビ放送としていうなら、ミキシングの段階での調整をサボったか、あるいは敢えて調整しなかったのか。

 クレルモンは前半ピリッとせず、ラインアウトでのミス、またラックその他での反則が多かった。

 モントーバンは FW が頑張ったし、BK のパス回しも悪くはなかったと思うが、たいていの場合、WTB のところでタッチ・ラインにつまってしまっていた(ということはパスプレーが結局悪かったということになるのか)。後半中頃のトライは十分なスペースがあるところで 14 番オードランにボールが渡り、そこが起点となったものである。11 番はあのデラサウだし、ウィング勝負というのが戦略のひとつだと思われただけに、攻撃側がスペースを殺しながらパスしてしまうことの多かった点が惜しまれる。

 マッチとしては、残り 10 分弱の時点で 19-24、どうなることかと興が募ったけれど、モントーバンがついに息切れし、クレルモンが逃げ切ったということになる。

 クレルモンとマンスターのマッチはどうなるのだろう?

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 スタッド・フランセのレプリカ・ジャージ No. 3 がいい感じ。黒のジャケットに合わせるとよさそう。襟がふつうの丸首ならね――つまり襟のぐるりが無ければね――というところ。
 と思ったら、ん? これも試合で実際に着用するジャージなのか。たまにならいいかなあ、「サード」ということからして、何か特別な折に洒落で――というのはだから二重の意味で「洒落て」――着込むという感じだろうし。それにしても、柄はともかく、超タイトな身頃とか襟の形とか、昨今のジャージは……まあいいわ、やめとこ。

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