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2009年1月29日 (木)

ハイネケンカップ プール第六週

 週末にフランス 2 でハイネケンカップ一試合、「バース 対 トゥールーズ」を観戦する。

 とてもイギリス的な環境と天候のなか行なわれたプール 5 の最終順位決定戦。二位からの逆転を目論むフランス側にはしかし、キックオフの段階ですでに他プールの試合結果が、つまりは二位のままでもノックアウト・ステージ進出可能ということがわかっていたようである。
 マッチは 3-3 の引き分け、トゥールーズは準々決勝をミレニアム・スタジアムでカーディフ・ブルーズと戦うことになった。この試合は見応えがありそうだ(4 月 11 日)。

 かなり強い雨が断続的に降り、地面はなかば凍りつつ、そこかしこに水溜りが出来ているグラウンド状態ゆえ、ゲームはまずはキックの応酬となった。バースのブッチ・ジェームズ、トゥルーズの「ジャンバ」・エリサルド、二人ともキックを得意とする SO であり、この戦術はいろいろな意味で理に適っているとはいえる。見所はしたがって、攻撃指向で、且つ、言葉本来の意味における「プレー」を好む両チームが、いつ本来の戦い方に転ずるかということになった。それまでは見る方もしばらく我慢。
 B・ジェームズはトゥールーズの攻撃をロングキックで跳ね返したり、相手 FB らを標的に再三パントを蹴り上げたりしたが、トゥールーズ側のキック処理はほぼ完璧で、とりわけポワトルノーはミスが全くなかった。いやー、成長していますねえ。後半の後半に退いたのは、疲労(ジャージの汚れ方が凄かった)のため、そしてクレールの出場機会を作るためだった。この調子ならレ・ブルーでも少なくともディフェンスに関しては問題ないだろう。後半に入ってから、パスプレーによる展開を多く試み、敵ゴール前まで攻め込む場面もあったが、結局ノートライに終わった。
 対するトゥールーズは、SO からのハイパントばかりではなく、何回か短いパスをつないで展開するのだが、敵陣 22m に入るとエリッサルドは判で捺したように毎回パント(高さは「ハイ」~「ミディアム」)を上げて仕留めようとした。これはやはり、無理せず効率よくというだったのだろうか。しかし結果は――相手のハイボール処理のもたつきなどからゴールライン前のチャンスもあったにせよ――PG の 3 点のみに終わった。ディフェンスはともにがんばっていたし、今日は両チームのプレースキッカーが不調をきわめたこともあって、結局スコアは前半の 3-3 から動くことがなかった。

 トゥールーズの 22m ラインの少し外側でのマイボール・スクラムの場面(前半)。9→10、そしてラインの内側にいるキッカー役のエマンスにボールが渡ったのだが(つまり陣地獲得のためのタッチキックを狙っていた)、エマンスのキックは「ダイレクト・タッチ」となり、蹴った地点まで戻されてしまった。蹴りそこなったというより、割とふつうに(つまり勘違いして)直接タッチの外に蹴り出したようにも見えた。

          *

 シックスネーションズ初戦、対アイルランド戦のメンバー。『レキップ』のサイトより。同紙記者による解説はこちら

Avants(フォーワヅ)
 バルセラ、フォール、ルクルス、マス、ケイゼール、スザルゼウスキ
 シャバル、ナレ(主将)、ミロ=シュルスキ
 デュソトワール、アリノルドキ、ウエドラオゴ、ピカモール

Arrières(バックス)
 パラ、ティユス=ボルド、ボクシス
 バビ、フリッツ、ジョジオン
 マルジュー、エマンス、メダール、ポワトルノー

 そうか、これでアイルランドと戦うのか。第一列はどうなるのだろう(トゥールーズのセルヴァもよい突進を再三見せていたのだが)、セレクションはいまだに "toujours en construction" といった趣である。実際、M・リエヴルモンは、上記二番目の記事に紹介されている談話で「W 杯の直前ではないのだから若いプレーヤーを試したい」という趣旨のことを述べている。ワールドカップが中心と、はっきり言われているわけで、違和感をもつ向きもあるだろう(わたくし自身の考えは内緒)。クレールは二月末のウェールズ戦などに間に合えば、というところだろうか。
 10 番の専門家がボクシスのみだが(ただしクラブでは常に SO をやっているわけではない)、最大の驚きとされたのはむしろエリッサルドの落選。この人はゲームの理解や「こすさ」(この場合は「気が利く」の意)も含め、実にフランス的なスクラムハーフではあり、プレースキッカーとしてはスクレラやミシャラクより安定している。コーチ陣もその実力は十分に認めているのだが、たとえばシャバルやジョジオン、エマンスら、年齢が同じないし上の人たちが選ばれる一方で、ミシャラクが選ばれていない(そもそも構想外という話もある)ことからして、年齢をいうだけでは十分に説得的とはいいがたい。記者 B・ラガシュリは、エリッサルドが 2011 年の構想から外れてしまった可能性を示唆している。

 エリサルド(の SO)の問題点は、ランのオプションがないことである。走れないというより、走らないということだろうと思う。いずれ気が利くプレーヤーではあり、キックも多彩だから、彼のゲーム・メークはそれなりに楽しめはするのだが、自分で抜けてゆくというような場面は見た記憶がない。ミシャラクやスクレラ、トラン=デュックは自ら走って抜こうとする。ボクシスも――腿のあまり上がらない、地表に重力が弛むことなく働いていることを時ならず思い出させてくれる独特のフォームで――走る。そうしたオプションがないために、ジャンバのプレーには時に物足りなさを感じてしまう。
 
ディフェンスも基本的には免除されているように見える。ウィルコのようにとはいわないが(そもそも役割が違う)、せめて前任者ガルチエの必殺技「ヘッドロック」を見習うくらいのことをして欲しい。ウェールズの対面には 190cm・100kg の M・フィリップスがいるのだから。
 (もちろんハイタックルはよくないのだが、反則すれすれの巧妙なやり方でガルチエがピンチを防いだ場面が少なからずあったと記憶する。ちなみに昨年度のフランス 2 のラグビー用「番宣」、〈ガルチエへの一問一答〉には「ヘッドロック(cravate)?――絶対必要だよ(C'est de rigeur)」というものがあった。他には「スコットランド対ウェールズ?――勝者がいて、敗者がいる」(お前さんは長嶋か)など。ま、そういう人です。)

 ミシャラクはデビューが早かったのでベテランの風情も漂い始めているがまだ 26-7 歳なので、次の W 杯でも年齢的には十分戦力になりうるように思われる。というより、活躍して欲しいと願う。なぜ選ばないのか、よくわからない。

〔人名、ティユス=ボルド(Tillous-Borde)とルクルス(Lecouls)に訂正した。〕

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