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2009年2月

2009年2月15日 (日)

シックスネーションズ WAL-ENG / FRA-SCO / ITA-IRE

 大学の図書館に行ったら、 "mouvement social" のため館外貸出・書庫文献閲覧を断られてしまった。政府の大学「改革」案に反対するため 9 日に学生・教職員による総会が開かれ、無期限ストライキが採択されたからである。本が借りられないというのはセイガクにとっては実に実に困ったことであるし、これまでもさまざまな mouvements sociaux (鉄道のストなど)によって個人的に迷惑を被ってもきたのだが、他方でやはり、こういう風にストやデモが日常茶飯事となっているのは、フランス社会のある面での健全さを示すものだろうとは思う。日本もやればいいのに。デモはいいものですよ。もちろん日の本にも戦争反対のデモはありますし、わたくしも参加したことがありますけど、もっと日常的にですね、ええ。

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フランススコットランド 22-13(トライ数 1-1)

 フランスはスコットランドにコロッと負けることがあるからなーとぼんやり考えていたが、そうした相性の問題も手伝って、だが何よりスコットランド・チーム自体の成長によって、今年度も接戦に近い試合となった。少なくともスコアとしてはそういうほかない。しかし、両チーム、とりわけスコットランド側にノックオンが多かったために、興がかなり殺がれたのも確かである。特に思い入れのないチームだから比較的冷静に見守ることができたけれど――これがジャパンだったら多分わたくしはマヨネーズのチューブを引き千切っていただろう、そして返りマヨネーズを浴びながら生きる意味について考えていたことだろう――、積極的にボールを展開し(タックル数は何とフランスの方が多かった)、よいつなぎやライン・ブレークがあっただけに非常に残念だった。

 フランスはディフェンスが好調であり、その結果として得られた PG を確実に決めて勝ったわけだが(スの反則 15、PG は 7 本狙って 5 本成功)、他方トライが 1 本に終わったのは、スコットランドのディフェンスが頑張ったからである。ラックでの早い球出しが出来ないときどうするか――というのはここのところずっとフランスの課題だったわけだが、「エコッス」より反則の少ないチーム(たとえばウェールズ)との対戦はこのままでは苦労するだろう。
 魂の奥底からの主張ということでは全くないが、攻撃時にはやはりエマンスを FB に置いた方が有効だし面白いように思う。

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ウェールズイングランド 23-15(トライ数 1-2)

 二年連続して対イングランド戦勝利の立役者となったジェームズ・フック(仏風にいうと「ウック」)の起用も予想されたなか、負傷欠場による変更を除けば、基本的に先週と同じメンバーでウェールズは試合に臨むことになった。昨年紹介した英主将の言葉にあったとおり、今回もまた「肉体と肉体のぶつかり合い」が中心だったということができるだろう。違いは、イングランド側の頑張りが 80 分続いた点、そして、にもかかわらず、ウェールズがだいたいにおいて優勢だった点である。

 スコアの上で完勝だった先週のパフォーマンスより、今週のゲームが称えられるとすれば、イングランドにとっては屈辱でもあるだろうが、それでもやはり、タックルやボール争奪局面での激しさ、極端なブリッツ・ディフェンス、そしてとりわけ相手 SH フィリップスへの絶え間ないプレッシャーは、ウェールズのトライを最小限に抑えるという意味では思惑どおり成功したといえるのではないだろうか。結果として、少なくともトライ数では上回ることができたのだから。

 イングランドの二本のトライはいずれもバックスによるものだったが、実際、今日は J・ワースリーを始めとする FW の頑張りがとにかく目立った。そして、頑張ったのだが、反則が多かった。つまるところそれが敗因なのだといってもよいけれど、他方、自陣で犯した七の反則が仮になかったとすれば、少なくとも二本余計にトライを奪われていたはずだから(最終スコアの 8 点差が例えば 2 点差になる)、勝つのはいずれにせよ難しかったろうと思われる。ターンオーバー数はイングランドの 4 に対し、ウェールズが 7 となっている(BBC 調べ)。タックル後にボールの出を妨げたとしてバックス二人がシンビン適用となったのは確かに痛かったけれど、これは試合を通じて反則――とレフェリーには見えた行為――が繰りかえされたことの必然的結果というほかない。

 今日のような試合を見ると、イングランドがトライを取って勝つゲームを志向し、実際に試みていることの現実的意義がよくわかる。絶対的なキッカーの不在が敗北に直結するような戦い方がそもそも不健全なのだから、残り三試合も、その方向で頑張って欲しいと思う。
 ちなみに BBC の BBS に「2003 年のイングランドと 2009 年のウェールズではどちらが強いか」というスレッドがあって、この比較それ自体は不可能だが(敢えていえば、やはり 2003 年のイングランドでしょうかね)、厳然たる事実として確認されるのは、2000 年から 2003 年にかけてのイングランドは実はトライを多く取っていたということである。この方向がたぶん、結局は現実的な戦い方なのである。取り方は時代により、またルール次第で変わるにしても。
 そうそう、リキ・フルーティがイングランド代表になるとは予想外だったが、チームにフィットすれば十分な戦力となりうることはわかった。ほとんど直角のステップはふつうの白人チームにはないものであり――だからこそシェーン・ウィリアムズは貴重なのである――、他のプレーヤーが彼の動き方を理解し、それに合わせるなら、大きな武器となりうるだろう。もっとも、年齢的にそう長くプレーするとは思えないので(今年 29 歳)、やはりセンターは別に育てなければならないと思う。

 ウェールズの方は、トライを簡単にとれないということで、戦い方を早いうちに切り替える余裕があった。それでも尚トライを奪って勝つべきだったとは思うけれど、やはりフィジカル勝負が前提としてある以上、やむをえないことだったのだろう。イングランドと同様、今日はとりわけ FW の頑張りが素晴らしかった。ちなみにテレビ解説の J・カザブルーは G・ジェンキンスが「オム・デュ・マッチ」だろうといっていた。
 バックスの攻撃は、S・ウィリアムズの不在にもかかわらず高速で切れ味鋭かったが、今日はセンターが「肉体と肉体のぶつかり合い」に巻き込まれざるをえなかった分、FB のバーンが WTB ハーフペニーへパスを供給する役目を担うことになった。トライに直結したものと A・グッドの反則を誘ったもの、いずれのパスもタイミングが素晴らしかった。本当によいフルバックになったものだ。
(このふたつの右オープンの攻撃、ほとんど同形といってよいアタックは、後半始まってすぐ、ほんの数分を置いて続けざまに展開されたものである。このあたり、イングランド側のディフェンス・リーダー不在が示されているだろう。)

 折に触れていっていることだが、6 番と 8 番のうち一人は、状況に応じてパスが出来るようにすべきではないか。今日の試合でも、外にパスすればチャンスが拡がるという場面があった。フィジカルに自信があるのだとしても、このレベルではやはり、そうそう簡単に突破できるわけではないのだから。
 あと、ハーフペニーは、S・ウィリアムズを見習って、ディフェンスを向上させるとともに、タックルされてもボールを活かせるようになって欲しい。体格の割に強さはあるようだが、全般的にプレーが淡白に感じられる。

(ハーフペニー、ジュード・ローにちょっと似ているよねとアルベルチーヌに言ったら、「ジュードローの方がずっとハンサム」という答えだった。でも「むしろマチュー・アマルリックと中村福助の方がそっくりだと思う」という、その「むしろ」って何? そんなこと言い出したら、スティーヴン・ジョーンズなんか丸っきりドラキュラぢゃないか!)

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イタリアアイルランド 9-38(トライ数 0-5)

 見逃した。

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2009年2月 9日 (月)

シックスネーションズ SCO-WAL / ENG-ITA / IRE-FRA

イングランドイタリア 36-11(トライ数 5-1)

 試合中ずっと浮かぬ顔をしていたマーティン・ジョンソンが初めて笑顔を見せたのは、終了間際、相手陣深いところでのラインアウトから思い切りのよいパス回しと、それにイタリア側のタックルの甘さも手伝って、五本目のトライを奪ったときだった。いやむしろ「自ら奪った唯一の」というべきかもしれない。イングランドのそれまでのトライはいずれも、個人的な判断のよさ(グッド、エリス)はあったにしろ、要するにイタリア側のミスによっていわばプレゼントされたものだったからである。
 予想されたとおり、とりわけ前半は SO からのキックが多用されたものの、敢えてタッチに出さず、ボールを積極的に動かそうという戦略がとられていたようだ。タッチキックで陣地を獲得するという確実なやり方を放棄し、わざわざ危険を冒しているとさえ感じられるほどにその戦略は徹底されていた(単なるミスキックもあったとは思うけれど)。それはよいとして、しかし肝腎のプレーヤーたちが監督の思い描くような形で動けていない。というか、個々の当たりではイングランドが明らかに上回っており、FW でガンガン押してゆくこともできたであろうに、それとはやや噛み合わぬプレーを選択したのは HB か、それとも監督だったのか? とにかく、WTB クエトや FL ハスケル(反則も多し!)など、よい動きを見せた人もいたのだから、そう悲観することもないとは思うが、チームとしてはまだまだと感じられた。フランスの「トップ 14」の現時点での得点王グッドがプレースキックを何度も外すかと思えば、やや停滞気味のゲームを活性化させるべくヌーンに代えて投入されたゲラーティは、ほとんど最初のプレーが「危険な行為」との判定を受けて一時退場する。張り切りすぎたための不運というほかないけれど、ジョノの隣に座るスタッフはさぞ怖い思いをしただろう。
 それでも、復帰したゲラーティとグッドのいわばダブル SO を軸とした上述のトライには、M・ジョンソンも喜びを隠さなかったし、このチームのやろうとしていることがよく表れていたと思う。ともかく途上のチームには違いない。

 注目されたグッドは、おそらく監督の期待をそう大きくは裏切らなかったはずである(称えているわけではありません)。ただし、肝腎の PG が不調のままだと、10 番の座は安泰とはいえない。
 FB のアーミテージは可もなく不可もなくという印象を受けた。後ろを見ずにパスする癖があるようだが、これは評価できない。いずれにせよ、攻撃力に関していえば、J・ロビンソンはもちろんのこと、J・ルーシーと比較しても、さほどの魅力が(少なくとも今日は)感じられなかった。

 イタリアは、陣地をとってパスで展開するというプランを忠実に実行していた。パスの回数は大雑把にはイングランドの倍である。本職でない SH (さらに SO が早期退場する)、ラインアウトの不調(6 本失った)、全体的に甘いタックルなどのマイナス点が重なったために、思うように得点できなかったものの、トライ数ほどに差をつけられて敗れたという感じはあまりしなかった。

 しかし、イングランドまでもがタッチキックを減らして攻撃型ラグビーを志向していることに深い感慨を覚える。イングランド人のファンはとうの昔に自分たちのチームに退屈さを感じていたと思うが。とにかく、「世界最高峰のノンストップ・アタッキング・ラグビーへようこそ!」(だっけ?)という矢野アナの声が懐かしく思い出されてくるね。

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アイルランドフランス 30-21(トライ数 3-2)

 アイルランドとフランス、いずれがラグビーに愛されているか――と、蓮實重彦にならって問うてみようか。双方の素晴らしいトライの印象はそれぞれに鮮烈で、思い返すのに苦労はないが、これは難問である。
 アイルランドのトライはいずれも、とるべくしてとったトライということができるだろう。個々のタックルの強さが目立ったフランス側のライン・ディフェンスの綻び、フィールドのほぼ真ん中に開けた、というよりむしろ、横の動きに対応しきれぬ FW 二人(シャバルとプロップ)の間を狙ってこじ開けた「扉」をエイトのヒースリップが突破して陥れた一本目。さらに、相手陣深くに入ったところでのラインアウトからの必殺技、オガーラ=オドリスコルのコンビネーション一発で奪った二本目(三本目は省略)。
 対するフランスはまず、ハーフウェイより自陣に少し入ったところから、フィールドの横幅一杯を往復しつつ 50 メートル前進してトライを奪う。明らかなオーバーラップやミスマッチが出来たわけでもないのに、魔法というか、あるいはやはり「フレア」というべきか、とにかく説明しがたい勢いがこのプレーには確かにあった。二本目はボクシスからのキックパスを受けたメダールがそのまま一直線にゴールエリアを陥れたもの。むろん、このようにしてトライをとるという意図の下に練習し、実践されたプレーではあるのだろうが、実は一本目は、短いゴロパント(メダール→ウエドラオゴ)を途中に一回挟まなければならなかったし(ラック二回)、またボクシスのキックパスは一度バウンドしている。ワンバウンド目は比較的素直に弾むものだが、要するにこれらフランスのトライには、少なくともひとつ、偶然が介入していたことになる。

 もちろん、意図したプレーが意図した通りに実現するというのは、つねにひとつの僥倖であり、したがってアイルランド側のトライもその意味では偶然の産物といえばいえる。だがこのチームにはそれを必然と感じさせてしまうものがある。アイルランドの「忠実」といういい方で人が肯定的に捉えているものがおそらくそれだ。そう、そこには否定的なものは何もない。C'est du rugby 、「これはラグビーだ」とあらゆる人が強く感じたはずである。
 それに対しフランスのプレーは、「扉をこじ開ける」(もちろんヴィルプルー=スクレラの有名な言葉)というよりむしろ、何というか山でも動かすのかと思わせるような大仰なところがある。あるいは、もっと簡単にトライがとれるだろうにわざわざ事態を複雑にしているかのような。言葉の内容と同等かそれ以上の価値を、気の利いたいい方に与える("C'est bien dit !")国民性もそこには関与しているだろう。だがその「気の利いたやり方」が偶然を招来している点に、単純に国民性へと還元してしまうことのできぬフランス・ラグビーのいわくいい難い魅力(je ne sais quel attrait)があるということもできるのではないだろうか。そこにはまた、アイルランド的「忠実」とは異なるラグビーの側面、いうなればアナーキーな一面を見ることもできるだろう。しかし、では「これこそがラグビーだ」(C'est le rugby)と人は自信をもっていえるだろうか? わからない。だが少なくともわたくしは「これもまたラグビーだ」(C'est aussi du rugby)とはいいたいと思う。

 試合全般の感想としては、悪質な反則が少なく、ボールもよく動き、勝敗の行方が残り二分までわからないという、申し分ないものだった。上記のトライ、とりわけ両チームの一本目にはどうしようもなく昂揚感を覚えた。ウェールズとの対戦がまだなので、ベスト・マッチ(ないしベスト・バウト)などとはいうのは控えるけれど、何度でも見返したくなるようなゲームだった。
 反則の数がアイルランド 2 に対しフランスが 10。その結果としての PG をアイルランドは 3 本、フランスは 1 本をそれぞれ成功させているけれども、攻め込んでから反則によって機会を逸したのがフランスには痛かった。
 個々のプレーヤーの強さではフランスが明らかに上だった。とりわけ長期離脱していたフリッツの完全復調を嬉しく思うが、BBC のスタッツによれば、タックル数(失敗)は、ア 94(15)に対してフ 71(5)となっている。実際、豪快に突破して相手ゴール前まで攻め込んだことが何度あったことか。しかしそれでも勝てなかったのは、結局のところ何かが足りなかったわけである。前半終了直前にアイルランド陣深くに攻め込んだとき、トライを狙ってよかったところで DG を選択した点に、このチーム――よいチームであると思う――の弱さが表れているかもしれない。事実、3 点を加えて点差が縮まったにもかかわらず、リエヴルモンは明らかに不満気だった。
 ただの言いがかりとなるかもしれないけれど、いつも言うように、フィールドの端から端まで目一杯に使うというのは、結果としてそうなればチャンスが拡がりもするだろうということであって、それをあらかじめの方針と決めてしまうと却って不自由になってしまうのではないか? 見方を変えていえば、今日は有効な数的優位を作り出すところまでは行かず、トライは二本ともフィールドの端だった(コンバージョン失敗の遠因)。それはつまり、まだ個人の力に頼るところが大きいということにほかならない。対してアイルランドのトライは三本とも真ん中である。偶然か必然か――この問いは奥が深い。また、ラックでのアイルランドの優位を最後まで覆せなかったことも響いた。フランスの FW もみなそれぞれに頑張ったのだが、アイルランドの第三列が今日は上回っていた。

 それにしても、オガーラ=オドリスコルのスペシャルプレーは、わかっていても(トライネーションズ以外のチームには)止められないプレーの代表格といえるだろう。アウトラインとしては「12-13 のクロス」ということになるだろうけれど、オドリスコルの背後で外に流れる 12 番(P・ワラス)と、オガーラからのパスを「ノビ」てキャッチするオドリスコル、この二人の動きによってジョジオンの意識を外側に向けつつ、ボクシスとオドリスコル――抜く/(ワラスへの)パスというオプションゆえの優位に(やや翳りが見えるとはいえ)あの加速が加わる――の一対一状況を作る。しかもこのプレーはフィールドのほぼ真ん中が焦点になるために、防御側も的を絞ることができない。たぶん、こうなる前に、ということはつまりラインアウトの段階でプレッシャーをかける以外に有効な手立てはない気がする。ウェールズはどう対処するだろうか。

 フランス戦に限ってフランス 2 は独自映像を使用するようである。アイルランド国歌や「アイルランド・コール」の歌詞仏訳が出るのはまあ悪くないけれど、BBC 映像が提供するような各種スタッツが全くないというのはやはり困る。

〔追記 フランス人名、ティユス=ボルド(Tillous-Borde)とルクルス(Lecouls)に訂正する。〕

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スコットランドウェールズ 13-26(トライ数 1-4)

 個人的には優勝候補筆頭と考えているウェールズが、高い攻撃力を見せつけた試合。英・伊戦とは逆に、点数以上の力の差が感じられた。
 もっとも、四本目のトライのあと、残り 20 分となったところで、控え選手をすべて出す――ということはチームの半分を入れ換える――という、相手チームへの敬意をやや欠いたと見る向きもあるだろうギャットランドの采配によって、勝敗という意味での興味は最後まで持続することとなった。実際、スコットランドが最初のトライを奪って 13ー26 とした後半 30 分、WTB の S・ウィリアムズが負傷のためベンチに下がり、かつ数分前に FL の M・ウィリアムズがシンビンとなっていたことから、ウェールズは残り 10 分の大半を 13 人で戦わなくてはならなくなっていた。

 ちょっとした判断ミスやハンドリング・エラーのため、またプレースキックの不調、そして何より気の弛みのせいで、得点はさほど伸びなかったものの、心配されたラインアウトが今日はほぼ完璧、スクラムで相手ボールを二、三度奪って、前後半二本ずつトライをとるという、圧倒的な攻撃だった。
 フランス 2 解説のF・ガルチエは「1970 年代が思い出されますね、フィル・ベネット! J・P・R・ウィリアムズ!」と二度述べていた(ちなみにガルチエは 1969 年生まれなので個人的記憶が本当にあるかどうか定かではないけれど、"On retrouve les années 70" と言ったので、発言自体に問題はない)。またアナウンサーのマチュー・ラルトはシェーン・ウィリアムズを指して "eléctro-libre, ou libéro" つまり「電気仕掛けのリベロ」などといっていた。自分のことを棚に上げてよいなら、全く軽薄な奴らというほかない(笑) 黄金時代のウェールズはわたくしもリアルタイムで見たことがないので、判断は有識者に委ねるけれど、とにかく目を瞠るほど素早い、いわば電光石火のアタックに改めて感嘆させられた。

 フランスの一本目のトライがフィールド 1 往復の運動を要したとすれば、アイルランドのそれは 0.75 往復、そしてウェールズのトライは 0.5 往復必要だったということになる。ウェールズの場合は、ラインアウトがすぐラックとなって、ワンクッション置いた形だが、そこからトライまでは一直線だった。ラインブレークはシャンクリンからのパスを受けたS・ウィリアムズと、その外にいたバーン(さらに外にはハーフペニーがいた)との間でのシザーズが起点。タックルを受けながらも半身だけ裏に出たバーンが内側のシャンクリンに返してトライが生まれたが、ここでは、もう一度外に振って二人の WTB に託すこともできたろう。ラックとなって逆方向に折り返すことになった可能性もあるが、ウェールズがショートサイドを上手く使うことは昨シーズンすでに証明されている。要するにオプションが複数あったわけで、いずれにせよトライはほぼ確実だったということになる。このウェールズ的速さがアイルランド戦やフランス戦でも同じように見られるかどうか、個人的には非常に興味深い。
 
ラックでのボール争奪は昨季以上に「いやらしく」なっており、この点でもアイルランドとのマッチは楽しみである。

 スコットランドに触れる紙幅がなくなってしまったので簡潔に。
 スピードに乗ったプレーヤーがパス、とりわけ手渡しに近い短めのパスを主体としてボールをつないでゆく局面にはワクワクさせられた。ウェールズのディフェンスはやはり堅いので、トライは一本に終わったが、イングランド戦にも同じ戦い方が出来れば勝てるのではないか。ミスを減らせばだが。
 WTB マックス・エヴァンスの個人技によるトライは見事だった。

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