« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2009年6月

2009年6月13日 (土)

アルゼンチン 対 イングランド(於サルタ)

 二月末から隣に住むようになった大々々迷惑な移民一家のお陰でわたくしのいろいろな計画が大幅に狂ってしまった。わたくしの怒り(もちろん!わたくしは怒っている)は、パリ市と移民支援団体が絡んだ住居斡旋事業に善意から(と思いたい)協力したはよいが、契約書を碌に読まず署名してしまった大家と、この一家に向けられている。詳細は省くけれど、とりあえずもっと小声で穏やかに喋れ。うちのテレビや音楽が聞こえなくなるって、どれだけの dB を誇るつもりだ? 声の大きさによってこそ己の権力が保全されるとでもいわんばかりの「怒鳴り声」を聞かされるたび、気が狂いそうになる。それからステレオやテレビの音量をもっと下げろ。(サニー・アデとか、ユッスー・ンドゥールとかだったら兎も角)アフリカ音頭みたいなセンスの悪い音楽を――しかも低音を強調して――一日中かけるのはよせ。餓鬼たちがわたくしのことを chinois と呼ぶのはレイシズム以外の何ものでもないがそれは見逃してやるから、とにかく静かな生活を返せ。ここは大草原やカリブ海の離れ小島の一軒家ではない。同じ建物にもともと住んでいた人間の暮らしに、少しは自分を合わせるべく努力せよ。電話はハンズフリーではなくちゃんと受話器を使え。

 生活が一変してブロッグどころではなくなっていたのだが、日夜抗議を続けた甲斐もあり多少はおとなしくなってきたようにも思える。錯覚かもしれないがそれはまあよい。とにかく夏のテストマッチ・シーズンとなり、久しぶりにラグビーを観戦する。アルゼンチン対イングランド。Direct 8 で。フランスのテレビで放送されるとは思わなかったので第一テスト(於マンチェスター)は見逃してしまったが、もしかしてロス・プーマスにはガルチエが関わっているからだろうか。どうせなら NZ 対フランスも観たかった。

             *

 アルゼンチン対イングランド 24-22 (トライ数 2-1)

 快晴のサルタ、Padre Ernesto Martearena スタジアム(読めないから原綴のまま記すのぢゃ)。フィールドが金網で囲まれている点、お国柄を偲ばせるけれども、ゴールに昂奮した客が金網を押し倒してピッチになだれ込むなんてことは、もちろん、ない。
 開始直後にホームチームがトライを奪い、さらに PG 三本でスコアを 14-3 としたのが 24 分。その後、前半の残り 20 分くらいは、アウェイチームは自陣に押しとどめられ、相手陣に入ることができたのはわずかに二回だった。さらに、後半 2 分のトライによって 21-3 と点差が拡がった時点でアルゼンチンの勝ちをわたくしは予想したが、イングランドがようやくそこから反撃を開始し、点数的にはもつれるマッチとなった。最終的に勝利を決めたのは、後半 30 分の J・M・エルナンデスの DG で、だからイングランドはウィルキンソンなら勝っていた、あるいはアルゼンチンはエルナンデスがいたから勝てたといえるかもしれない。

 イングランドにはいろいろな意味で注目してはいるが、勝って欲しいとはべつだん思わない。アルゼンチンやウェールズ、それにアイランダーズとの対戦ではわたくしは相手方を応援するし、フランスや南アフリカと対戦する際に、せいぜいいって中立になるくらいのものである。
 今日のイングランドは、ライオンズに FW の重要なプレーヤーを何人か取られているにもかかわらず、スクラムとラインアウトで優勢、ブレークダウンもほぼ互角の出来だった。これでなぜゲームを優位に進められないかといえば、やはり反則が多いから。痛い反則は FW だけでなく BK にもあった。反則によって点を与え、また自身の攻撃では、プレーの連続によってラグビー的運動を作り出すことができず、というわけで、これで勝ったって誰も喜ばないだろう。よいプレーもあった。散発的にだが、SH のケアから SO のグッド他のバックスに展開してあわやという場面が後半は何回か見られはしたのだが、ハンドリングエラーがあったり、プーマスのディフェンスの戻りが速かったりして、やはり続かない。グッドはもっとボールを持って走ったりした方がよいように思う。

 アルゼンチンは、W 杯以降の新チームを初めて見たのだが、FW で六人、BK で二人、あのチームから残っている。
 ラインアウトがかなり悪かった(HO は M・レデスマなのに)のは得点に関して大きかったと思うが、それにも増して、ブレークダウンで人数をかけなければ勝てなくなっているのが興味深かった。この試合に限っていうなら、最低限のボールを何とか確保できたということになるだろう。被ターンオーバーも少なくなかった。イングランドももちろん弱いわけではないのだから決して不可思議なことではないけれども、南アフリカやニュージーランド相手なら相当苦戦するのではないだろうか。時間を潰すための自軍ボールの確保さえ今日はうまく行かなかった。
 バックスの方は、F・コンテポミまで引退してしまったようだが、だいたいは英仏の一流クラブ所属のプレーヤーだから当然ともいえるだろうけれど、身体の使い方がイングランドのバックスよりずっとしなやかで、展開プレーの滑らかさや技術という点でもイングランドよりよほど上だったと思う。実際、ブレークダウンが劣勢で、ハイパントも数本しか試みられなかった今日のゲームでは、アルゼンチンの勝利はバックスのパスプレーにかかっていたのだが、ハンドリングエラーは前半 35 分までたぶん一度もなかった。
 後半2分のトライは素晴らしかった。目の覚めるようなというのはこういうプレーのことを指していうのだろうと思う。ラインアウトからすぐラックとなり、SH からエルナンデスに左展開、デコイ役の CTB(おそらく 12 番のフェルナンデス)が、エルナンデスの対面のグッドを引きつけて「殺し」、真後ろから走り込んでパスを受けた FB アグラ(読み方はこれでよいのか?)がグッドと CTB ヒプキスの間を突破する。真っ直ぐ走ったあと、戻ってきた英 11 番をハンドオフで倒しつつ左に進路を変え、英 15 番アーミテージにタックルさせながら、大外の WTB に飛ばしパス。テレビのフレーム外から突然現れ出た 11 番カマチョがそのままライン際を走りきって対面のクエトを振り切り、タッチダウン。法政みたい、というと語弊があるかもしれないので、ほとんどウェールズかアイルランドのようだったといっておこう。

 ラインブレークを果敢に狙うというアルゼンチンの姿勢をわたくしは支持する。汚いプレーが非常に少なかったのも好ましかった(イングランドの D・アーミテージがチンピラに見えて仕方なかった)。テストマッチの機会に恵まれないチームの宿命として、組織プレーのこれ以上高度な習熟は望めそうもないけれど、何とか上位チームと伍していって欲しいと思う。

Argentina: H Agulla (Brive); F Leonelli (Saracens), G Tiesi (Harlequins), S Fernandez (Hindu), G Camacho (Buenos Aires CRC); JM Hernandez (Stade Francais), A Lalanne (London Irish); R Roncero (Stade Francais), M Ledesma (ASM Clermont Auvergne), M Ayerza (Leicester Tigers), R Alvarez (Perpignan), P Albacete (Stade Toulousain), G Fessia (Cordoba Athletic), JM Leguizamon (Stade Francais), JM Fernandez Lobbe(Sale Sharks - capt).

 Replacements: A Vernet Basualdo (Stade Toulousain), JP Orlandi (Rovigo), M Carizza (Biarritz Olympique), E Lozada (Toulon), N Vergallo (Dax), M Avramovic (Montauban), L Gonzalez Amorosino (Pucara).

England: D Armitage (London Irish); M Cueto (Sale Sharks), D Hipkiss (Leicester), T May (Newcastle), M Banahan (Bath); A Goode (Brive), D Care (Harlequins); T Payne (Wasps), D Hartley (Northampton), J White (Leicester), S Borthwick (Saracens, capt), L Deacon (Leicester), C Robshaw (Harlequins), S Armitage (London Irish), N Easter (Harlequins).

 Replacements: G Chuter (Leicester), D Wilson (Newcastle), B Kay (Leicester), J Haskell (Wasps), P Hodgson (London Irish), S Vesty (Leicester), M Tait (Sale Sharks).

 (フランス・トップ 14 決勝は録画したけどまだ見ていない)。

| | トラックバック (0)

« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »