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2011年9月25日 (日)

アルゼンチン 対 スコットランド プール B /フィジー 対 サモア プール D

 フィジー 対 サモア 7-27(0-12) トライ数 1-2

 フィジー代表のラグビーはまったく「普通」になってしまった。モールやスクラムに難があるという点ではずっと同じなのだが、戦い方の点でも、今や他とほとんど変わりのないチームである。対南ア戦同様にピック&ゴー主体の攻撃。まあザウザウ、デラサウのような怪物にトライをとらせるというあり方も別段フィジー的とはいえないわけで、「フィジアン・マジック」はすでに神話的な――つまり、「武士道」がそうであるように、失われてしまったからこそ語ることのできる――ものにすぎないのだろう。

 サモアはフィジーよりパス・プレー主体で、それは対ウェールズ戦と同じだが、フィジーより組織プレーがよく整備されていたために、より多く得点することができた。このラグビーは南アフリカにはどの程度まで通用するのだろうか。

 それにしても今日は両チームともイージーなハンドリング・エラーが多く、興を殺がれた。

         *

 アルゼンチン 対 スコットランド 13-12(3-6) トライ数 1-0

 どちらも決め手を欠く、いわゆる「塩っぱい」ゲームだったが、残り 10 分ほどになったところで、交代したばかりのアモロジーノのトライで逆転したロス・プーマスが、辛くも逃げ切った。スコットランドは次の対イングランド戦に負けるとグループステージでの敗退が決まる。

 前回大会の対戦(準々決勝)ではスコットランドがどれくらい抵抗できるかが焦点だったが、今回はアルゼンチンから「大駒」(ロンゴ、コルレト、エルナンデスら)が引退や負傷のため抜けており、両チームの実力はほぼ同等と考えられた。イングランドにすでに負けているアルゼンチンは後がなかったが、ブレークダウンとスクラムにおいていくらか優位に立っていた以外は互角の戦いで、勝敗がどうなるか最後までわからなかった。
 スコットランドが三点を細かく重ねてゆく戦略を採ったのに対し、アルゼンチンの戦略は――似たようなものだったとは思うが――はっきりとしなかった。スコットランドのディフェンスがよく頑張り、自陣 22 メートル以内への侵入、ひいてはゴール近くからの PG や DG を簡単には許さなかったからだ(エルナンデスがいれば話はまったく別だったろうけれど)。

 ふつうに考えれば、グループ B の勝ち抜けはイングランドとアルゼンチンでほぼ決まりだろう。スコットランドの実に渋い渋い戦略に対しては、共感を覚えることはないままにしかし、公平な立場から「これもまたラグビーである」といわざるをえないけれど、何か人を瞠目させるような瞬間がこのチームに訪れるとはとても思えない。ここから先のステージでは戦力的にだいぶ苦しいとはいえ、アルゼンチンにはそれが感じられる。たとえば思わず出てしまう足技。「サッカーではないのだから」と軽く嫌味をいうことは可能だが、しかしルールはこうしたプレーを禁じてはいない。筋肉に覆われた身体をハードにぶつけて無理に突破を図るスコットランド(やイングランド)のゲームは見ていて息苦しさを感じてしまうことの方が多いけれども、それに比べれば、相対的なものだとしても、身のしなやかさによって相手を躱そうという姿勢の垣間見えるロス・プーマスの方がまだしも自由であると思う。
 この自由は、フランスのプレーにも通ずるものだが、ボールが例えばラックやスクラムから思いがけぬ仕方でこぼれ出たとき、それを両の手でしっかり握ってからダイビングパスというより、咄嗟に片手ではたく、あるいは足で蹴ることによって味方に送る方が、ずっと自然ではないだろうか。アルゼンチンのラグビーが、ある意味では先祖返りの様相を呈しながらも、まさにそのことによって一種の新しさを感じさせるゆえんだ。このまま行けば、クォーターファイナルで NZ に 40-10 くらいの大差で敗れるだろうが、それでもやはりわたくしはプーマスを応援したい。
(オールブラックスのラグビーもそういう点ではきわめて自由なものなのだが、プレーひとつひとつがあまりに精密で、サイボーグがやっているような印象を抱いてしまうことがある。彼らは苦境に陥ったときだけ、いわば人間的になるのである。)

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