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2011年9月17日 (土)

オーストラリア 対 アイルランド プール C

 オーストラリア 対 アイルランド 15-6(6-6) トライ数 0-0

 双方ともトライはなかったものの、アイルランドは非常によい戦い方をした。大会直前のパッとしない戦績の印象が強いとはいえ、ここ数年では一番のゲームだろう。「ベスト・バウト」に推す人も多いのではないか。南ア対ウェールズ戦のようなスリル、サスペンス(ウェールズはいつ逆転されるかという)がさほど感じられなかったがそれは、アイルランドの強さが誰の目にも明らかだったからである。

 今大会のここまでの傾向として、例のキック合戦が少ない点、そして必勝の期される試合ではピック&ドライブが主たる戦術となっている点を挙げることができる。後者は NZ には当てはまらないともいえるが、そもそもオールブラックスは絶対的な勝利の約束されたゲームしかまだ戦っていない。
 アイルランドもピック&ドライブを多用したが、それ一辺倒ではなく、ライン・ブレークも積極的に狙っているように見えた。パス・プレーには FW 第三列の選手が多く加わっていたが、ということは逆にラックには BK も――BOD はいつものように、しかし他のバックスも――参加していたことになる。これは単なる印象にすぎず、間違っている可能性も大いにあるけれど、FW の前五人だけで地上戦をやっていたとすれば、80 分はさすがにもたないだろう。ボールへの寄りがほとんど常に相手を上回っていたのだから。全員ラグビー。そしてとりわけフォワードのがんばり。その頑張りはスクラムの局面でも発揮され、試合を通じてアイルランドがほぼ支配することになった。
 それにしても、バックスにタレントを揃えながら、FW 戦で劣勢に立ち、結局試合に敗れてしまうというのは、オーストラリアにとっては前回大会の準々決勝、対イングランド戦と同じ展開である。だがわたくしはむしろ、同じ大会のアルゼンチンを思い出しながら観戦していた。プーマスにおいては FW/BK の分業はもっとはっきりしていたように記憶するが、その点は除けば、消極的な戦法としてではないピック&ゴー、そしてハイパント。フィジーでさえスプリングボクスとの対戦で展開を封じ、FW 戦に賭けるという傾向をわたくしは残念に思うけれども、今日のアイルランドの戦いには、積極的な姿勢が感じられた。後半途中から出場のオガーラが二、三回試みたハイパントは、確実性の支配する、ある意味で退屈きわまりないフィールドに不確実性や混沌を導き入れるという意味合いで、非常にスリリングだった。

 また、スコアからして当然のことだが、アイルランドのディフェンスは今日は万全だった。オフサイドすれすれのダッシュで圧力をかけつつ、一瞬生まれかけた綻びを次の瞬間には埋める、あるいは内を攻められる局面で必然的に薄くなった外に誰かが走ってゆくというように、ほぼ完璧に組織防御が機能していた。前半のまだ早い段階で、オドリスコルが飛び出しすぎて出来たギャップを突かれたときはどうなることかと思いもしたが、おそらく、ブリッツと裏腹のいわゆる「裏のスペース」に対するケアはあらかじめ準備されていたのだろう。ワラビーズが突破できる感じはほとんどなかった。フィジーに完勝した今日の南アだったら、どう攻略しただろうか。

 アイルランドはこれで初の準決勝進出に一歩近づいたことになる。まあ、わたくしはウェールズ(無事にプール・ステージを抜け出せればの話だが)を応援するけれどね。

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