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2011年10月 1日 (土)

フランス 対 トンガ プール A /イングランド 対 スコットランド プール B

 フランス 対 トンガ 14-19(6-13) トライ数 1-1

 トンガが素晴らしいゲームをした。ブレークダウンへの素早い働きかけ、スクラムでの頑張り、ラインディフェンスの鋭い出足。実に感動的だった。プレーヤーのフィジカリティあってこそだとは思うが、特に奇を衒った攻撃を行なうわけではないものの、縦への突進と横への展開の組み合わせが効果的で、フランスにディフェンスの的を絞らせず、美しいラインブレークを何度も繰り返す。綺麗に突破したあとのコース取りがまずく、トライをふたつみっつ奪い損なったのが惜しまれるけれど、ともかく完勝である。

 グループ・ステージで初めて2敗を喫したフランスは依然本調子の出ぬままである。明日のスポーツ紙一面には「苦い教訓(ルソン・ザメール)」とか何とかいう大見出しが躍ることだろう(この見出し、以前に『レキップ』で実際に用いられたことがあります、シックス・ネーションズでスコットランドに負けたとき)。マルク・リエヴルモンの意図ははっきりしないままだが(あるいはむしろ意図を読ませぬようにしているのかもしれないけれど)、ひとつ確実にいえるのは、FW 戦で劣勢のときにどうするかという「プラン B」を用意しておかないと、前回の二の舞になるということだ。
 展開プレーが(日本やカナダ相手の試合はさて措き)さして効果的でないのは、どうもラインに並ぶプレーヤーが外に外に流れて、ウィングのスペースを潰してしまっているからではないかと思う。メダールやクレールは見たところ好調そうだが、やはりスペースがなければどうにもならないだろう。本日行われたイングランド対スコットランドのゲームでは、後半の後半、スコットランドのカウンターアタック局面で、FB パターソンが、自分の右側にいるプレーヤーを活かすためディフェンス二人を引き付けようとして、ぎりぎりまでパスせずにいたのだが、ランのコースとしては外に流れてしまい、スペースを消すことになったし、結果として一人しか引き付けられなかった。外のウィングはもう一人(たぶんアーミテージ)に捕まえられ、トライのチャンスは潰えたのだが、あの場面では、むしろ早めにパスしてサポートに回るという手もあったのではないだろうか。

 この対戦だとわたくしはニュートラルか、どちらかといえばトンガに肩入れするので、試合結果には満足している。今日のような戦いができるのなら、フランスの代わりにトンガが準々決勝に進むのもよかったかもしれない。ただ、トンガはたとえばスプリングボクスに勝つことはあるかもしれないけれど、オールブラックスには絶対に勝てないよね、構造的にいって。フィジーやサモアもそう。だから結局のところは、フランスが進出した方が大会の、ひいては世界の多様性という観点からして好ましいと思う。
 そして、わたくしの個人的好みとしては、イングランドには何とか勝って、しかるのちにウェールズないしアイルランド相手に華々しく散って欲しい。今回はシェーン・ウィリアムズやブライアン・オドリスコル最後のワールドカップなのだから、それに次回のウェールズやアイルランドが準決勝まで進める保証もないので、うん、まあそういうことです。

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 イングランド 対 スコットランド 16-12(3-9) トライ数 1-0

 この試合は、スコットランド・アルゼンチン戦のように「塩っぱい」ゲームとはならなかった。ロス・プーマスと同様にイングランドもロースコア戦略にとりあえず付き合ったわけだが、アルゼンチンが知らぬうちにスコットランドの術中に嵌ったといえるのに対し、イングランドの方はむしろ、トライへの欲望を敢えて抑えつつ勝機を窺うという戦い方だったろうからである。

 一時は 9 点差(8 点差以上で負けると敗退が決まる)をつけられたものの、後半に 3 点差まで追い上げたのち、残り 5 分となり、スコットランドがトライを狙わざるを得なくなってから――ということは試合の焦点が PG・DG からトライへと一挙に転換してから――逆転のトライを決める。この通りの未来予想図を描いていたわけでもないだろうが、こうした展開にはそもそも慣れているわけだし、実質的にイングランドがコントロールしたといえるゲームだった。あるいは、それほどの力の差があったということだ。

 ウィルキンソンからフラッドへの交代は(ウィルコが疲れたとか怪我したとかでなければ)、「これで(実質的に)勝った」という監督からのメッセージ以上の意味はないはずで、というのは、トライに結実したのは、フラッドのパスがよかったからではなく(最後の飛ばしパスは素晴らしかったが)、スコットランドがトライを奪うべく前がかりとなっていたことが大きいからである。

 さて、準々決勝のイングランド対フランスはどうなるのだろう。今日の両チームの状態なら、イングランドが余力を残しつつ勝利するだろう。まだ目の覚めていない――というか実はもう目覚めている?――フランスはイングランドからトライがとれるかどうかさえ不明である。ブレークダウンで優位に立てない場合はそれをなるべく避けるようゲーム・プランを変更しなければならないと思うが、試合の最中にそのようなことができるだろうか?

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