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2015年5月

2015年5月19日 (火)

大阪都構想否決あるいは "no future for you" ?

 日本放送協会がエース武田アナを起用して実況した開票速報は事情によりリアルタイムで見ることができなかった。帰宅後、パソコンを起動し、「反対多数」のニュースに接して少しの間絶句した。それから就寝時刻なので床に入った。ショックで寝込むというようなことは特になかったです。はははっ。

 わたくしにとっては今年前半のメインイベントだったので(年後半にはラグビーW杯が控えている)、自分なりの総括をしておかなくてはならないだろう。

住民投票の結果について。
 ・選挙人名簿登録者数 2,140,786 人

今回初めて知ったのだが、西成区は男女比が 54,320 対 37,209 と、他の区(浪速区を除きすべて女が多い)とは顕著な差で男が上回っている。

 ・当日有権者数 2,104,276 人
 ・投票率 66.83% (男 64.52%、女 68.97%)

女の方が投票率は総じて高く、24 区中 11 区で 70% を越えている。
男女合わせた投票率 70% 超は天王寺・阿倍野・城東区。前二区が反対多数(といってもそれぞれ 2,000 ほどの差だが)だったのは区割が気に入らなかったからと推測される。城東はなぜだろう? 単に「民度」が高いため?
浪速区(賛成多数)は 52.8.% と目立つ形で低い。繁華街・商業地区であって、人口(夜間人口)の少ないことが関係しているかもしれない。同区の生活保護率は 9%
ちなみに西成区(反対多数)では男 55.65% (24区中で最低)に対し女 67.10%、同区の生活保護率は 25%

 
 ・結果=賛成 694,844 反対 705,805

票差 10,961、対「当日有権者数」比で 0.5%、対「投票者数」比で 0.7% の差。
ちなみに西成区では賛成 25,298 に対し反対 28,813(当日有権者数に対して 3.9%)、
賛成多数最大の北区(票差 10,018)に対する反対多数最大の平野区(票差 10,877)。

 民主主義的選挙とは要するに無記名投票であって、賛否それぞれに票を投じた者の年齢や職業は不明である。そこで一般には、マスメディアによる「出口調査」が参照される。これはしかし、どこまで信憑性があるのだろうか?
 ・世代別賛成率(朝日新聞・朝日放送による。NHK による調査もほぼ同様の結果)

20代   61%
30代   65%
40代   59%
50代   54%
60代   52%
70代超  39%

 一見、若い世代の賛成票を高齢者の反対票が上回ったと、すなわち若者の未来を年寄が否定したと思いたくなるような、というか老人がどれだけ多いんや!と感嘆符をつけて叫びたくなるような結果ですけれど、この数値を信頼した場合、昨秋の人口統計を基にした常識的な世代別投票率とはまるで合致しないことを検証した個人サイトがある。実際、有権者総数に占める60代以上の割合は37%に過ぎず、直観的に何かがおかしいと気づかされる。
 同サイトは、整合性に照らして以下の可能性を示唆している。

・可能性1.年代別賛成率の報道が誤りであった
 窓口調査が特定の箇所に偏っていたなどという理由から、この報道が誤報であったという可能性が考えられるでしょう。

・可能性2.世代論へのすり替えが行われた
 投票結果は、区によって大きく異なりましたが、その原因が、その各区の特性に因るところであると報道しづらかったため、世代別投票率でごまかしたという可能性があります。

・可能性3.そもそも開票結果が誤っている
 何らかの意志によって、開票結果が捻じ曲げられたという可能性があります。ツイッターでつぶやかれた方の本旨とは異なりますが、「闇」を若干ながら感じるところでもあります。

 
 こうなってくるとすべては推測になってしまうけれど、世代論による年寄り批判は合理的でないとは少なくともいえるだろう。わたくしとしては、老人が「未来」のことに関心を抱かないのであってみれば、維新の戦略の失敗を詰りたくなるところだが、それも慎まなくてはいけない。事実、反対票を投じた老人は、若者世代の未来のことには少しも興味をもっていないわけだが、それはあくまで世代としての若者に対する無関心ということであって、多くの老人は、自分の子、自分の孫に出来る限りの財産を遺せるよう節約するために税金(たとえば敬老パス)にたかろうとしているのである。道義的には情けない連中だと思うけれど、彼らはおのれの正当な権利を行使しているにすぎず、これ以上のことはいえない。

(自分が享受する「住民サービス」はかつて自身が納めた税金ですべてまかなわれていると考えているとすれば、あまりに阿呆ですよね。そんなものはとうの昔に底をついているというのに。今は大半が借金でまかなわれているのですよ。そしてその借金を返すことになっているのは、あなたの子孫を含む将来の世代なのです。
 後日識す――選挙後のMBS『Voice』街頭インタビューで60-80代の複数名が、反対票を投じた理由として「(都構想では)将来が見通せないから」という趣旨のことを述べていた。コメントは省略。)

 まあ賛成派の20代・30代は本当に気の毒と思うが、彼らが年寄り一般を敵視することがないよう望む。賛成に投票した年寄りもいるわけだからね――というか一般論としての世代論、世代間格差論はほどほどにしなくては真実が見えなくなるのではないだろうか。こうしたことをわたくしは例えば年金受給の世代間格差が世間を賑わわせた際に感じた。なるほど、一般論としては差はある(わたくし自身もおそらくマイナスになると期待される)。しかしそれを強調することで、たとえば国民年金しか受給していない老人と、それに加えて企業年金や共済年金を必要以上に受け取っている老人の格差が見えなくなってしまうだろう。ありえぬ程の額の企業年金を貰っている連中は国民年金受給資格を放棄すればよいのにと思うけれど、そんなことをする老人はいない。なぜなら、蓄財して自分で使い切れなかった分は子孫に相続されることが期待されているからである。つまり世代間格差と同程度にいわば「世帯間格差」なる問題が実は存在しているのであって、今ではわたくしは、世代間の争いを強調する論者はむしろ後者の格差を隠すためにそうしているのではないかと疑い始めてさえいる。

 話が逸れてしまったが、投票は終わってしまったので、云々しても仕方ない。
 投票を棄権した多数の若者の無関心(ないし白紙委任)は残念に思うけれど、彼らが投票していれば結果はどうなったかというような仮定は無益だし。ただ投票権を行使した若者が大阪に失望しすぎぬよう期待するのみである。

     *

 投票前の運動に関連して。

 辻元清美が反対ということは、都構想は正しく、是非とも実現されなくてはならないものということだと思った。

 それから李信恵という在日朝鮮人、また民団や朝鮮総連(ついでにいえば部落解放同盟)も反対の表明をしていた。これも都構想の正しさの表れだと思った。
 (こういう人たちがなぜ口を出すのか疑問に思わないでもないけれど、外国人の利益を代表する政治勢力も存在する(しうる)のだから、それは仕方のないこと。)

 反対の意思を表明した団体等。
 大阪府/市医師会、大阪府/市歯科医師会、大阪府/市薬剤師会、大阪市平野区医師会、障害者(児)を守る全大阪連絡協議会、大阪市をなくすな!障害者連絡会、連合大阪、大阪市地域振興会、商店会総連盟、トラック協会、バス協会、タクシー協会、大阪市職員退職者会、大阪府労働組合連合会、大阪市教職員労働組合、大阪市労働組合連合会(大阪市職員労働組合)、……

     *

 投票後の報道で気づいた点を。

 自民党大阪府連本部での記者会見。おそらく党側の人間であろう司会者が党役員(竹本や柳本)からのコメントを「いただきます」といっていた。これは永田町でも見られるのだが、身内の人間(同じ党の人間)に対する敬語はそろそろやめろ。あるいは丁寧語のつもりで敬語を用いているのかもしれないけれど、それぢゃ唯の莫迦だ。

 それとは逆に、NHK の特別番組では取材記者が、その自民党役員らの発言を(竹本会長が)「申していた」と仰っていた。一回きりではなかったので、たんなるいい間違いではないようである。ずっと「申していた」と仰るものだから、わたくしは録画を見ながらついに噴き出し申し上げてしまったよ。糞竹本に謙譲を強いる豪胆は個人的には買うけど、そこは穏当に「いっていた」でよかったのでは。

 橋下の仇敵である平松や、中野雅至、毎日放送『ちちんぷいぷい』『VOICE』の西靖アナの嬉しそうなこと!
 大阪市における生活保護問題を訴えるべく橋下がどちらだったかの番組に生出演した際、受給しやすさの為に他府県から人がやってくること関して西が「そういうのをやめると大阪的人情がなくなってしまう」という趣旨のことを述べた。妄言である。それに対し、橋下は「それは西さんが費用を出してくれるのならいいんですけどね」と返した。このやり取りを見て、西に肩入れする人間はどうかしている。税金を納めない人間が増えてくる(だから逆に税金を納める人間が減ってゆく)状態にどのように対処するかが問題となっているのに、人情って。
 敢えて俗な次元で物をいうけれど、西はそれ以来ずっと逆恨みをしていたのだと思う。それら番組の偏向「報道」(というかもはや「報道」とは呼べぬていの偏向)はひどかったもの。
 で、そういう人物があと半年で辞任するといっているわけだから、燕雀としては喜ばぬわけにはいかないと、まあそういうことだよね。

     *

 でもやっぱり橋下は偉いなあと思うのは、住民投票の翌月曜に早速、市幹部に「総合区」検討を指示したからである。特別区ならぬ「総合区」とは、それこそ名前だけで内実はまだ何も決まっていないが、都構想への対案を求められた大阪自民や公明が苦し紛れに口に出したものだ。そもそも、都構想なしでも改革は出来ると討論の場で公言させられたわけでもあるし(これだけを見ても、都構想は目的ではなく手段ということ、そして橋下の頭のよさがわかる)。
 たぶん、世間一般の漠然とした考えでは、任期満了までの橋下執行部はいわゆるレームダックであり、市政はいわば宙吊りの空白状態にあって、自民・公明・民主・共産はそれぞれ次期市長候補の選定に勤しむということだったのではないだろうか。本当に柳本や平松ら(立候補するかもしれない)がそう考えていたとすれば、彼らには候補として立つ資格はない。少子高齢化対策を急がなくては大阪に未来はないというのが、投票結果如何にかかわらぬ共通認識なのだから。橋下の討論は、「すぐに対案を要求する」といって批判されもしたが、対案が求められるのは問題がまさに急を要するからである。
 西クンのように「Rise and Fall of 橋下徹」とか劇場化して溜飲を下げている場合ではないし、石川クンのように「民主主義」の勝利とか妄言に酔いはしゃいでいる場合でもないのである。石川センセとか内田センセは民主主義がどういうものか本当にわかってんのかな。

(未了)

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