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2015年10月 2日 (金)

ウェールズ 対 フィジー(A)

ウェールズ 対 フィジー 23-13(17-6) トライ数 2-1 公式統計

 ようやくJ sports に加入することができた。
 今大会のベストマッチ候補であろう(少なくとも日本人にとっては)対南ア戦の再放送にぎりぎりのところで間に合うというタイミング(八月に申し込んでいたというのに何故こんなに時間がかかるのか)。
 読売テレビの放送では削除されていた映像を見ることができてよかった。試合終了後の選手同士の挨拶では、スカルク・バーガーが笑顔で日本側選手たちを称賛する場面が素晴らしかったと思う。三大会目のトンプソンと大野は頑張った甲斐ががあったね。
 
 とにかく何度見返しても――またJスポのYアナや解説の小林さん、村上さん、日本ラグビー狂会の佐々木さんや中尾さん、そしてもちろん故梅本洋一といった面々の歓喜・号泣(?)を想像して――その都度泣いてしまう好ゲームである。

     *

 それで早速、A組のウェールズ対フィジーの試合を見たわけだが、実況担当者が賢しらに解説までやってしまうので、申し訳ないけれど副音声に切り替えた。「ゴ(ール・ト)ラーイ」の日テレの実況の方がまだ許せる――と思う一方、日テレのアナウンサーにも不満がないではない。例えばこの人はなぜかイングランドに肩入れをしている気味があって、イングランドとイギリスの区別がついているのだろうかとか、「ロイヤル・ファミリー」と一括りにしているけれど、兄王子と弟王子でジャージの色が違っているだろ!とか、あるいはそもそもイギリス皇太子がウェールズ公を名乗るゆゑんを御存知ないのかとか、サッカーでもラグビーでもイングランド・チームを応援するのは世界中で「イングランド人」だけなのにとか、いろいろ不安を抱かせる人ではあった。しかしそれでも、実況本番で取り乱してしまうという、スポーツ・アナに欠かすことのできない資質に恵まれてはいるということにしておきたい。

 ウェールズとフィジー。2007年の対戦ではレッド・ドラゴンが「椰子の木」チームを力で抑え込もうとして失敗し、ある意味で非常に馬鹿馬鹿しい点の取り合いの末に後者が勝利した。2011年の対戦では、陰惨なまでに前者が後者を叩きのめすという結果となった。
 今回の対戦が示したのは、ウェールズはやはりワールド・ラグビーというかラグビー・ワールドに不可欠なチームであるということだったと思う。フィジーのような something different の可能性があるチームを活かせるか否かというのは、世界のラグビーの多様性にとりきわめて重要だからである。

 もっとも、現在のフィジーにそれほどの魅力があるかといえば、実のところかなり大きな疑問符を付けないわけにはゆかない。
 パス・プレーにしても、ウェールズのそれが、長短やタイミング、また空間の活用法などの点でまさしく多様性を体現していたのに比べれば、フィジー側のそれは均質性に傾きがちだったと思う。

 というか、「フィジアン・マジック」なるものは本当に存在する(した)のかと、われわれはまず問うべきなのかもしれない。そういうものが本当にあるとして、それはしかしオール・ブラックスによって「つねにすでに」体現されているのではないかと。
 同様の神話として名高いものに「フレンチ・フレア」がある。基本的には駄目なチームがしかし時折「閃き」を得て驚嘆すべきプレーを見せるというような話だが、これはフランスの真摯なラグビー・ジャーナリストによって否定されているらしい(木村安寿「なぜフランス人はかくもラグビーが好きなのか? ふたつの神話をめぐって」日本ラグビー狂会編『日本ラグビー 世界への始動』双葉社、2009年)。

 しかしそれでもやはり、フィジーが「らしさ」の片鱗というか、正確には(一度死んだものの再生の)萌芽を垣間見せたのは、ウェールズの「セクシー・ラグビー」(こちらはむしろ死にかけた中での残余というべきかもしれないが)に触発されたからではないだろうか。実際、この試合ではウェールズのスクラムやモールが一度ならずフィジーFWに負けたのだった。
 ウェールズでは例えば、長らくスクラムを支えてきたタイトヘッド・プロップのアダム・ジョーンズが大会の代表選考に漏れるということがあった。おそらく彼がいれば、対イングランド戦やこの試合でスクラムが劣勢になることはなかったろう。それは十分予測されたことであって、それでもなおフィールド・プレーに重きが置かれたのであるとすれば、それは今後のラグビーも潮流を示唆するものなのかもしれない。

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