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2016年6月18日 (土)

日本 対 スコットランド 其之一(六月のテストマッチ・シリーズ)

 日本 対 スコットランド 13-26 (トライ数 1-2)

 日本代表がウェールズ代表に初めて勝った試合から三年。あの時は一本目半、どころか下手すると二本目でしかないレッドドラゴンに対する勝利に歓喜の声をあげたのだが、現在のブレイブ・ブロッサムズが置かれた状況はその頃とはまるで違ったものになっている。

 要するに、昨秋の対スプリングボクス戦勝利の興奮冷めやらぬなか――そうですとも、わたくしは今だに涙と洟なしにあの試合を観ることができないんです――、悪くとも「善戦」(つまりは惜敗)、ということはすなわち実質的に「雪辱」の勝利を日本協会代表チームは期待されていたからである。
 ただし、こうしたテスト・シリーズでは最終戦が本番ということに一応なっていて、だからこの日行われた第一戦は双方にとって半ば予備戦的な位置づけではあった。
 ワールドカップ準々決勝でワラビーズに惜敗し、また今春のシックスネーションズではフランスを十数年ぶりに破ったチームとほとんど変わらぬ「ガチ」のメンバーを組んでくれたスコットランド協会には本当に感謝しなくてはいけないけれど、対する日本チームはといえば、例の南ア戦のそれと比較すれば顔ぶれ・コンディションを合わせて三割から四割くらい力の落ちた条件で試合に臨むことになった――というよりむしろ、これまでの積み重ねが残されているかどうか判らない新チームと称すべきかもしれない。とするなら、敗れたとはいえこの点差(オールブラックス対スコットランドないしウェールズ戦を考えてみればよい)に収まったこと、また戦い方によってはあるいは勝利も不可能ではなかったことには素直に喜ばなくてはならないのだろう。

 ラグビーは野球などとは異なって本当の意味におけるチーム・スポーツだと思うがそれでもたいていの場合、選手個々の力量が点差に如実に映し出されてしまう残酷な面があることも否定できない。キャップ数がそれなりにあるメンバーについていくつか感想を記すなら、10番田村クンはゴール・キッカーとしては申し分ない出来でしたが、攻撃の起点としては「無難」以上とはいえなかった。9番や12番との連係、サイン・ムーブはそれこそチームとしての戦略そして戦術にかかわるものだから現段階では仕方ないとしても、もっと自分から仕掛けないと、12番の負担が多くなりすぎてしまうのではないか。
 その12番の立川クンは、10番として出場した三年前の対ウェールズ戦で既に厳しいマークを受けていたわけだが、この試合でもエイトのマフィとともにマークの主たる対象となっていた。それでも攻守にわたって立派なパフォーマンスを披露できるのだから大したものだ。ジャパンの12番がフィジカリティで互角に渡り合える日が来るとは、素直に感動しないわけにはいかない。われわれは少なくとも、パスは上手かったけど接触局面では必ず腰の引けていた平尾誠二とパスの巧さも身体の強さも中途半端なままキャップだけ無駄に増やした元木某のことは忘れてよいのではないだろうか。
 9番の内田クンはこの水準では厳しいなー。表情が無駄に偉そうという点は措くとしても、まずラックへの寄りが遅いよ。スクラムハーフの仕事はまず、ラックに誰より早く、可能ならばラックが形成されるより前に寄ることではなかったか? だというのにこの人は「余裕をこいて」挙句にボールを奪われているのだから。日和佐クンにもそういう傾向があってわたくしは全然評価できなかったのだが、ワールドカップではその悪しき癖が解消されていましたね。田中クンや茂野クンが出られないとすれば日和佐クンを選ぶべきでしょう。レフェリーが笛を吹く前にラックから強引に球を出してしまえばいいのに、一体何度奪われているんだという話です。内田選手はテンポもよくないね。わたくしは単純なスピード信仰をもってはいないけれど、テンポそしてタイミングはやはり重要だと思う。そして最後にやはり判断。対カナダ戦やこの試合で茂野クンの代わりに内田クンがトライの起点になれたかというと、残念ながら否といわざるをえません。他に人がいないのかな。

 この試合の個人的ハイライトは後半20分のスクラムでした。どう見てもスコットランド贔屓のレフェリー(NZ協会)の判断の誤りを実力で証明して見せたフロント・ロー、とりわけ一番の稲垣クンの頑張りには胸が熱くなりました。ボールがよく動くラグビーもよいけれど、双方一歩も引かぬ、ほとんど静止したかに見えるスクラムがえんえん続くのもわたくしは好きなのです。

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