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2019年9月28日 (土)

日本 対 アイルランド(A)

 日本 対 アイルランド 19-12(9-12) トライ数 1-2 公式統計

 公式サイトでは対スコットランド戦がプール・ステージにおける好取組の上位に挙げられていたけれども、それはノックアウト・ステージ進出の懸かった対戦ということが大きかったと思う。わたくしとしてはこちらの試合の方により感動した。感動というのはこの場合、涙と洟を盛大に垂れ流したということである。
 前半にトライをふたつ取られたもののペナルティ・ゴールで食らいつき、後半 20 分のトライで逆転という、まるでシックス・ネーションズのような渋い展開が予想を裏切るものだった。2017 年の日本での対戦では二試合とも力の差を見せつけられる形で大敗していたからで(22-50、13-35)、譬えていうなら、我が子にいつの間にか背丈を越されていたことに驚きつつ、しかし(もちろん)歓喜したというところだろうか。
 しかも、前回大会の対南アフリカ戦のように日本の逆転トライで試合終了という形ではなく、20 分を残してのとりあえずの逆転だった、ということはつまり、その残り 20 分の間、アイルランドを完封したのだから、いや本当に力がついたなあと、1991 年、1995 年W杯での対戦を知る者としては深い深い感慨を覚えたのだった。実際、例えば 95 年の試合ではスクラムを完全に支配され惨敗を喫したわけで、そのスクラムで互角に渡り合うことができた今チームのフォワードにとりわけ祝福を送りたいと思う。

 NHK の解説で広瀬俊朗が同種のサインプレーが今秋の対フィジー戦でも有効だったというので見返してみると確かに、同じように敵陣右側でのスクラムから左方向の 12 番中村へのパス(対フィジー戦では 10 番田村を経由して)そしてクラッシュ、そこから逆に右方向へのパス、走りこんだ 14 番松嶋がそのままゴールポスト下へのトライという、見た限りでは非常に単純に見えもするサインが功を奏していた(前半 19 分頃)。対アイルランド戦では、そこまで簡単にはいかず、14 番(すなわち左ウィンガー)レメキがゴールポスト前で捕まったところから、左方向へのラックの連取を経てのトライとなったわけだが、なるほど、一発でトライに至らぬ場合のいわゆる「プラン B」も周到に準備されていたのだなと、舌を巻いた。そしてこのトライに結実する田中→中村→ラファエレ(13)→福岡(23)のパスは、日本代表のそれとしてはわたくしの知る限り最も美しいもののひとつだったと思う。

 それにしても、「ラグビー文化」などということを五月蠅くいう人もいる中で、観客は例えばゴールキック(コンバージョン、ペナルティ)の際にはキッカーに静寂を提供するというようことが出来ていたのには驚いた。シックス・ネーションズでいうと、まさにアイルランド代表の本拠地でしか――終始ガヤガヤしているパリやローマはいうまでもなく、ロンドンやカーディフでも――体験できないような作法をいつ身につけたのだろう?

(未了)

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